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『できるPower Automate Desktop』はなぜ48ページ通しで読まなければいけないのか

2021年7月20日に発売した『できるPower Automate Desktop ノーコードで実現するはじめてのRPA』(以下、『できるPower Automate Desktop』)は、発売から1か月経たずに初版を上回る部数(!)の重版が決まり、会社が想定していた売れ行きをいい意味で裏切った書籍です。

そんな本書ですが、第3章以降は、これまでのできるシリーズと違い、1つの内容を1つの章で解説するという、やや変わった構成になっています。

通常、本書のような解説書の場合、レッスン形式で1つの章に複数のレッスンが収録され、レッスンごとに内容が完結していることが多いです。なので、章丸ごと頭から最後まで通しで読む必要がある構成はあまり見ません。

なぜこのような構成にしたのか。その理由をご紹介します。

そもそも 「Power Automate Desktop」とは

「Power Automate Desktop」とは、パソコン上の作業を自動化できるマイクロソフトのアプリです。ファイルの削除や、Excelへの書き込みなど、パソコン上でよく行われる操作が「アクション」として用意されており、アクションを組み合わせて業務を自動化する操作の塊「フロー」を作成します。

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例えば、Excelにまとめられた毎月の売上データを、社内のシステムに入力する業務の場合。手作業で行うと、Excelのデータをコピーして、社内のシステムに1つ1つ貼り付ける操作をデータの数だけ行う必要があります。データの数が100や1000になると、この業務だけでもかなりの時間が掛かり、入力ミスがあると、どこを間違えたのか探すのも大変です。

「Power Automate Desktop」を使えば、ボタンをクリックするだけで業務が完了! 手作業と違いミスも起こりません。従来、業務を自動化するためには「VBA」や「Python」などを使って、プログラムコードを書く必要がありましたが、「Power Automate Desktop」はプログラミング不要。しかも、Windows 10が搭載されているパソコンがあれば、無料で使えるので、コストを気にする必要がない、とてもとっつきやすいアプリなんです。

章単位で1つの内容を解説する構成にした理由

『できるPower Automate Desktop』では、プログラミングに苦手意識がある人や、これまで業務を自動化できていなかった人に向けた内容にしたいと思いました。

著者のあーちゃんさんや監修のASAHI Accounting Robot研究所さん(以下、ロボ研さん)から、「その会社だけで使っているようなインストール型のアプリを操作する方法があるといいかも」「メール送信を自動化するやつがあれば便利」などなど。たくさんの意見をもらいつつ、第1章と第2章で「Power Automate Desktop」の基礎知識や基本操作などを解説し、第3章以降は、Excelを使った請求書の作成業務を自動化してみよう、など実務を想定したテーマを設定することに。また、1つの業務自動化を1章かけて解説するため、一歩一歩着実に読み進められるよう、各章内では「Excelからの請求項目のデータを読み込む」「品名や単価などをExcelに転記する」など、1つの工程ごとにレッスンを分けて説明することにしました。

しかしそうすると、自動化する業務は違っても「ファイルを起動する」方法や、「Excelに入力されたデータを読み取る」方法など、各章で共通して行われる工程が出てきてしまい、内容が重複する懸念がありました。

かなりざっくりとした図ですが、イメージとしては以下です。

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あーちゃんさんに相談したところ伝えられたのは、1つの業務を自動化する一連の流れの中で、どのアクションを組み合わせていくべきか解説しないと、結局業務を自動化するアクションの組み合わせを読者自身でカスタマイズして考えなければならず、実務に活かすことができないということ。もともと、「Power Automate Desktop」のような自動化ツールを勉強し始めたときに、このような理由で、書籍の内容を実務に落とし込んで活かすまでに、苦労したとか。また、読者が一連の流れを実践していき、「自動化、私もできた!」と達成感が得られる内容にしたいという想いがあーちゃんさんにはありました。

似た工程が章をまたいで解説されても、それぞれ操作の目的や細かな設定は異なるので、レッスンのタイトルで目的が違うことが明確になるように工夫しつつ、はじめて業務を自動化する成功体験をこの本で得てもらうべく、第3章以降は提案してもらった構成にすることにしました。

3つの業務を自動化する構成

『できるPower Automate Desktop』の実際の章構成はこちら(↓)。

第1章 Power Automate Desktopの基本を学ぼう
第2章 フローの作成方法を知ろう
第3章 Excelの作業を自動化しよう
第4章 Webフォームへの入力を自動化しよう
第5章 メール送信を自動化しよう

3章ではExcelでの請求書作成、4章ではWebページ上の入力欄に売上を登録する業務、5章ではセミナーの参加御礼メールを一括送信する方法を解説しています。

実際のページでは下の紙面のように、最初にこの章で何を行うのか、どのような手順を踏むのか説明することで、全体の流れも把握しやすくしています。また、「このアクションとこのアクションを組み合わせると、値が入力されている範囲が読み込める」といった組み立て方や、エラーが起きにくいようにするためのポイントなど、あーちゃんさんやロボ研さんのノウハウも満載です。

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『できるPower Automate Desktop』の第3章以降は、章の頭から最後までつなげて読む必要があり、3章のみでも48ページあるのでやや根気が必要ですが、その分、読んだ後の満足感はしっかりあります。本書が発売されてから、本書のレッスンを実践してくれる方や、解説している内容を元に、自分なりに手を加えている方がいるのは、今回のややイレギュラーな構成にしたからだと感じています。

さらに、本書ではもう1つイレギュラーな部分として、あーちゃんさんが以前勤めていた会社で自動化ツールの導入を進めたときの実体験をまとめたページを冒頭に設けています。『できるシリーズ』では、あまりこのようなページは入れないのですが、リアルな苦労話が、同じような経験をしている方や、会社での業務自動化を進めたいと考えている方の背中を推すきっかけになるはずだと思い収録しています。

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書籍の冒頭のあーちゃんさんの奮闘記も、本書のレッスンも、はじめて業務を自動化する方に向けて、あーちゃんさんやロボ研さんが、たくさんのこだわりを持って、たくさん考えてくださった内容を凝縮しています。あーちゃんさんやロボ研さんのおかげでとても面白い書籍になったので編集としては、1㎜もドヤれませんが、本書が、日々の業務を効率化する一助になればうれしいです。 

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