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「ふりがなプログラミング」シリーズの判型はなぜ大きくなったのか?

2021年12月にシリーズ12冊目となる『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング スクレイピング入門』が発売された「ふりがなプログラミング」シリーズ。実は、2021年7月に発売した『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング 増補改訂版』から、本のサイズ(判型)を一回り大きくしています。今回は「なぜ判型を大きくしたのか」その経緯について、シリーズ当初から企画・執筆をしている編集プロダクションのリブロワークスさん(https://libroworks.co.jp/)にnoteを執筆していただきました。

こんにちは! 編集プロダクションのリブロワークスです。書籍の企画、編集、デザインを手がけており、インプレスさんの書籍も数多く制作させていただいております。弊社が企画・執筆している、同社の「ふりがなプログラミング」シリーズは、昨年、本のサイズが大きくなったのをご存じでしょうか? 今回はその理由を紹介したいと思います。

「ふりがなプログラミング」シリーズとは?

「ふりがなプログラミング」シリーズは、「プログラム(ソースコード)にふりがなを振る」という画期的なコンセプトで、2018年にスタートしました。ふりがなを振ることで、個々の単語や記号が何を意味していて、どう動くのかが理解しやすくなっているのが本書の大きな特長です。

また、単語間を補って日本語で意味が通じる文に直した「読み下し文」をあわせて掲載しています。

「ふりがな」と「読み下し文」により、プログラミング初学者にありがちな「このプログラムが何をしているのかがわからない!」という疑問を解消します。おかげさまで本シリーズは多くの方にご好評をいただいており、最新の『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング スクレイピング入門』までシリーズ12冊が発売中です。

12冊ものラインアップ!

大きな具を小さな器に詰め込んだ初期シリーズからの進化

実は「ふりがなプログラミング」シリーズは、2021年7月に発売した『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング 増補改訂版』から、判型をA5判からB5変形判に変更しました。この本は2018年6月に発売した『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング』の改訂版です。並べてみると、増補改訂版のほうが一回り大きくなっているのがわかります。

左:改訂する前(A5判)、右:改訂版(B5変形判)

では、なぜ判型を大きくしたのかというと、「判型が小さいとプログラムの折り返しが多くなるので、長いプログラムを掲載しづらい」ためです。

そもそも本書はプログラムにふりがなを振るという関係上、プログラムの文字サイズが、ほかのプログラミング解説書より倍近く大きくなっています。にもかかわらず判型はA5と小ぶりです。小さな器に大きな具を詰め込んでいたわけです。

「ふりがな」シリーズはプログラムの文字サイズが大きい

それゆえ「ふりがなプログラミング」シリーズには、プログラムが少しでも長くなると、折り返しやページまたぎが増えて可読性が下がるという弱点がありました。特に少し凝ったサンプルプログラムや、1行が長くなりやすいプログラミング言語(JavaやC#など)だと、弱点が目立ちます。

それを解消するために、あちこち縮めたり省略したり分割したりと試行錯誤し、ときには長いサンプルプログラムの掲載自体を断念したこともありました。

本シリーズは弊社で執筆しておりますが、執筆の際には「プログラムが紙面にうまく収まらない~!」という声が社内に響き渡ることがしばしば……。こうしたときに紙面のスペースと折り合いをつける必要があるのは、紙媒体特有の難しさだなと痛感します。

これらが判型を大きくした理由です。見比べるとプログラムの折り返しが減り、自然に読めるようになったことがわかると思います。

『スラスラ読める Python ふりがなプログラミング』(もとの判型)の紙面
『スラスラ読める Python ふりがなプログラミング 増補改訂版』(大きくした判型)の紙面

データ分析のような複雑なプログラムも「ふりがな化」できるように!

長いプログラムを載せやすくなったことで、これまで盛り込むのが難しかった実用的な内容も、本シリーズで扱えるようになりました。たとえば『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング 増補改訂版』では、もとの判型での内容に「データ分析に挑戦してみよう」という章を追加しています。

データ分析のプログラムは、条件分岐や繰り返しといったプログラミングの基礎的な内容を紹介するものに比べて、プログラムが長くなりがちです。判型を大きくしたからこそ、データ分析のプログラムを掲載できました。この章では顧客アンケートをテーマに、簡単な統計値の算出やヒストグラムの作成を行っています。

「データ分析に挑戦してみよう」章の紙面

最新作の『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング スクレイピング入門』では、Webスクレイピング(以降、スクレイピング)をテーマにしています。スクレイピングはWebページからテキストや画像を抽出する技術です。スクレイピングも、どうしてもプログラムが長くなってしまいがちなのですが、判型を大きくしたおかげで「ふりがなプログラミング」シリーズで扱うことができました。

『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング スクレイピング入門』の紙面

またスクレイピングは、サンプルプログラムがそのまま使えることはまれで、スクレイピングしたいWebサイトやデータにあわせて、自力でプログラムを作り替える必要があります。そのため書籍に掲載されているプログラムを1行1行、しっかり理解しておくことがより重要です。その理解に「ふりがな」が役立つはずだと考えて制作しました。

このようにプログラムの意味を本質的に理解することがより重要な分野も、「ふりがなプログラミング」シリーズで取り上げやすくなったのは、判型を大きくしたメリットだと考えています。

今後も本シリーズをよろしくお願いいたします!

「ふりがなプログラミング」シリーズは、プログラミング初学者や、過去にほかの入門書で挫折してしまった方に、自信を持っておすすめするシリーズです。手に取っていただけると嬉しく思います。

個人的には判型が大きいほうが本を開きやすいので、本を読みながらプログラムを入力する、といったこともしやすくなったかなと思っていますが、どうでしょうか……(そこは好みもありそうですね)。ぜひ書店などで大きくなった「ふりがなプログラミング」シリーズをチェックしてみてください!

今後も「ふりがなプログラミング」シリーズをよろしくお願いいたします!

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