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理系の学生に必須な「LaTeX」を初心者向けにていねいに伝えたい!――『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』

「LaTeX」ってなんて読むの?…ちょっとニッチな題材をテーマにした本書。実は理系の大学生・院生は必ず通るだろう道であるそのツールを、初心者向けに簡単・ていねいに解説した著者に、本書への思いを語っていただきました。

はじめまして! 私は明松 真司(あけまつ しんじ)と申します。
この度、インプレス出版事業部さんのnoteに、このような記事を書かせていただく機会をいただきました。大変嬉しく思っております。

なにげに困ってしまう自己紹介

「明松さんは、普段は何をされている人なのですか?」と初対面の方にはだいたい質問されてしまいます。この質問をされると、ひと言でなんと答えれば良いのか…いつも少し困ってしまいます。
そんな感じですが、簡単に自己紹介をしてみると……北海道釧路市生まれ。釧路高専という学校を卒業して、その後、東北大学の理学部数学科を卒業しました。現在は、仙台市やオンラインを中心に、専門学校での講師業や社会人向け研修業(扱うテーマは、数学・AI・基礎プログラミングなど)をやっています。それから、いろいろなテーマで書籍執筆もしています。
あと、これは趣味に少し寄っていますが、【SUISO(すいそ)】というバンドで音楽活動もしています。…とこんな感じで、早い話が「教育事業を主軸にいろいろやってる人」くらいに思っていただければよいかなという感じです。

『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』を上梓させていただきました!

2022年7月14日に『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』という書籍を発刊させていただきました。

『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』の書影

都内や自宅周辺の本屋さんなどに立ち寄るたびに在庫をチェックしたり、Web書店などを見たりなどもしていますが、無事にいろいろなところで購入できるようになっています。インプレスの皆さまをはじめとして、さまざまな方のサポートで出来上がった書籍です。改めて、たくさんの方に感謝です。

LaTeX(ラテック)?

本書は、タイトルにもあるとおり「LaTeX」の入門書です。「LaTeX」は「ラテック」とか「ラテフ」というふうに読みます。正直なところ、世の中にそこまで浸透している名称かというと、そんなことはないでしょう。

WikipediaからLaTeXの説明を引用してみます。

LATEX(ラテック、ラテフ、など。詳細は後述)とは、レスリー・ランポートによって開発されたテキストベースの組版処理システムである。電子組版ソフトウェアTEXにマクロパッケージを組み込むことによって構築されており、単体のTEXに比べて、より手軽に組版を行うことができるようになっている。LATEXと表記できない場合は「LaTeX」と表記する。

Wikipedia「LaTeX」(https://ja.wikipedia.org/wiki/LaTeX)より
注:引用文中の「LATEX」および「TEX」は特殊な文字組による表記となっています。
実際の表記については、引用元のページでご確認ください。

やはり、これだけを見ても、なんだか小難しくてよくわかりませんね。簡単に説明すると、LaTeXを使えば、以下のような文書が(練習さえすれば)誰でも作れます。

数式がたくさん含まれた文書ですね。LaTeXではこういうのが作れます。
さらに高度ですが、こんなものもLaTeXで作れます。

こんなふうに「LaTeX」は、文書の組版(くみはん:文章を綺麗にレイアウトすること)を、ある程度、自動的に行なってくれるシステムで、特に【複雑な数式】を含む文書をめちゃくちゃ綺麗に作るのが得意なヤツです。
こんな特徴を持っているので、特に大学や高専で卒業論文・レポートを書いたり、理系分野のテキストを書いたりするのに使われやすいのが「LaTeX」です。

よく比べられがちな「WordとLaTeX」

世の中で文書を作るデファクトスタンダードといえば、Microsoft Wordであることは間違いないと思います。LaTeXは、よくWordと比べられます。

「LaTeXとかいらないよね…Wordがあれば充分!」
「Wordは使いにくい! LaTeXが至高!」

このような過激な言い合いを見かけたりもしますが、どちらもやや的外れです。実際のところ、WordとLaTeXは「そもそも別モノ」です。

Wordでは、画面上での直感的なマウス操作(GUI)で、自由自在に文書が作れます。様々なイラストを配置して、ポップな文書を作ることもできるし、フォーマルな文書を作ることもできます。自由に文書のレイアウトまで決められるので、Wordは直感的だし、自由なのです。ただ、その分考えること・やることは多いですね。

それに対してLaTeXは「この文書は、こんな感じの構造のレイアウトで、本文はこの内容です」ということを「専用のソースコード」で表現します。

LaTeXではこのような「ソースコード」を作ります。
難しそうに見えますが、意外とそうでもないですよ。

そして「てなわけで、あと頼んだよッ!」みたいな具合で、このソースコードをLaTeXに渡し、LaTeXはこのソースコードを元にして「洗練された文書」に組版してくれます。つまり、ユーザーとLaTeXの役割分担で文書を完成させるのです。

文書の実際の見た目は「LaTeXが自動的に決める」ことになるので、やや自由度は下がりますが、その見た目は非常に洗練されたものになりますし、何よりユーザーが「文書の内容だけに集中できる」という大きなメリットを享受できます。

なので、「Word」「LaTeX」のどちらにも、それぞれの良さがあるのです。

私はLaTeXが大好きなのです!

私がLaTeXに初めて出会ったのは、高専(中学校を卒業後、5年間通う学校)という学校に在席していたときでした。3年生のときに数学の授業のレポートを書く課題が出て、そのときの先生から「お前、LaTeXで書いたら?」と突然の無茶振りを受けました。夏休みを使って必死でLaTeXを勉強していたら、いつしか虜になってしまった…という感じです。

それから15年以上、ずーーっとLaTeXを使い続けて、さまざまな文書を書きまくってきました。それこそ、数式が入っている文書だけではなく、履歴書や、顧客向けの案内文まで、LaTeXを使えば簡単に、綺麗に作ることができるのです。

数学の教材をLaTeXで自作してWEBで公開していたのですが、それをきっかけにして講師業のお仕事をいただいたり、書籍出版のお仕事をいただいたりなど、とてもいろいろな経験しました。ほんの些細なきっかけでLaTeXを使い始めたのですが、気づけばLaTeXで人生が変わった!…とまで言えてしまうほどです。

「サクッと気軽に」LaTeXを使ってほしい!

今回刊行した『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』は、とにかく「お手軽に! サクッと! LaTeXを使えるようになる!」ために執筆しました。

LaTeXは、妙に敷居が高く見えてしまいますし、細かく学ぼうとすると非常に奥が深くて、途中で迷子になってしまうこともあります。本書では、読者の方に寄り添いながら、「LaTeXを一緒に楽しんでみようぜ!」と、とにかくポップに解説することを心掛けました。

内容だけではなく、中身のデザインもポップで見やすいものとするよう心掛けています。

理系で必須の「難しい数式を含む文書」はもちろんですが、それだけではなくて、例えばちょっとした備忘録を作るのにも、町内会の文書を作るのにも、LaTeXを使ったっていいじゃないですか。

  • 突然、高専や大学でLaTeXが必要になってしまった! どうしよう!(意外とこういうのはよくあります)

  • 塾や学校で使う、数式が入った教材を手軽に綺麗に作りたい! どうしよう(涙)

  • 数式が入ったテキストを自分で書きたい! どうしよう(泣)

こんなシチュエーションで、とりあえず最初に手にとってみようかな、という1冊になればいいな…という気持ちで本書を作りました。

私が伝えたいことは、ただひとつだけ。

LaTeX、意外と難しくないし、楽しいよ! 一緒にやろう!

一人でも多くの方に、LaTeXが与えてくれる感動が伝わり、そして、文書作成のパラダイムシフトを、本書をとおして体験していただけたら、心からうれしく思います。
本書の中では、LaTeXの「使い方」だけではなく「気持ち」の部分まで含めて、細かく丁寧にわかりやすく解説しています。

もう終わり?

というわけで、なんだかんだ語っていたらもう文字数が…。まだまだ語りたりませんが、続きは『1週間でLaTeXの基礎が学べる本』の中で語りまくっています。

ぜひ、お手に取ってみてくださいね。
それでは、書籍の中でまた会いましょう!

明松 真司(あけまつ・しんじ)
合同会社HaikaraCity代表。宮城県委託案件や、各種企業、学校向けに数学/プログラミング言語/AIに関わる研修や入門講義、コンサルティング、著述業などを主に行う。仙台デザイン&テクノロジー専門学校AI系コース講師。高専入試/高専のための学習塾「ナレッジスター」創業者。著書に『線形空間論入門』(プレアデス出版)、『徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集 第2版』(インプレス)、『Pythonで超らくらくに数学をこなす本』(オーム社)などがある。

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