寅年の年賀状発売中!「年賀状素材集」の編集の話
今年も年賀はがきが発売になり、いよいよ年末が近づいてきました。
今回はインプレスを代表する雑誌のひとつ「年賀状素材集」について、山内編集長がゆるゆる語ります。
年賀状のデザインデータが入ったROMメディア付きの本。どんな方に聞いても一度は見たことがあるとおっしゃいます。自分は使わなくてもご両親が使っているなども。
インプレスでは、毎年この「年賀状素材集」を発刊しています。
「年賀状じまい」と言いますが。
「年賀状じまい」なんて言われているように、年賀状を出さなくなっている時代というのは残念ながらその通りです。ビジネス的な視点でも縮小傾向なのは否めません。
それでもインプレスの年賀状素材集は毎年シリーズ合計100万部を超える発刊数を誇っています。
年賀状はまだまだ国民的ビッグコンテンツであり、じつは言われているほどみなさん年賀状をやめてないような気すらしています。全盛期より衰えはしたものの、バリバリ主力のベテランスポーツ選手のような、そんな存在です。さらなる活躍を期待してしまいます。
今だから、はがきもいい。
編集者のゴリ押しでもなんでもなく、今だから、はがきもいいと思います。
メールやSNSは読んだらおしまいですが、やはり形に残るものは記憶にも残りやすいです。何年も連絡を取り合っていなくても、年賀状やクリスマスカードをくれる人のことは覚えています。
そして、全然連絡も取ってないのに、この時代にあえてはがきをくれるなんて、なんか心の豊かな人だなと勝手にイメージアップしています。
若い人でも、やってみたらハマる人、いると思います。むしろどう楽しむのか見てみたいです。
いつも佳境の夏。
さて、このnoteの主旨でもある内側のお話。
年賀状素材集の編集は、出版の中ではかなり特殊な部類であると思います。言ってしまうとデータカタログで、通常の書籍の編集力に加えて画像データの知識が必要です。しかも、わりと文章の編集よりデータ調整のほうに時間を取られます。
そのため、編集者にしては、やけにPhotoshopに詳しくなれるのですが、他で役に立つかどうかはわかりません。情報を扱うというより、イラストデータという製品を作る感じで、メーカーっぽい気持ちになります。
編集作業は体感的には書籍2冊分くらいのボリュームを感じます。ROM付きなので、ROMと本と考えると妥当なだけかもしれません。
編集部の新人はだいたい「年賀状ってこんなに大変なんだ……」と言います。少なくとも周りから見ているより大変なのは間違いないみたいです。
いろいろ工夫しながらやっていますが、校了日を迎える8~9月はやはり忙しいです。この時期は年賀状の編集作業で手一杯になってしまい、他の書籍の関係者のみなさんには毎度ご迷惑おかけしてしまいます。この場を借りてお詫び申し上げます……。
夏休みはいつも9月末~10月頃。夏は記憶にございません。
年賀状から売れっ子クリエイターへ。
年賀状素材集は、年賀状の絵を描いてくださるイラストレーターさん、刺繍や貼り絵の作家さんなど、クリエイターのみなさまのおかげでできています。
こんなにたくさんのクリエイターさんにご参加いただいてできあがる本というのは意外となく、それも毎年ということで、年賀状素材集を通じて多くのクリエイターさんと出会うことができています。
そこから単著または共著で著書の発刊に繋がったり、年賀状の本をきっかけに別の仕事の話がきたりといった話もわりとよく聞き、クリエイターズファイル的な役割もあるのかなと思います。
大変な編集作業の中でも、クリエイターさんの作品を見ている時間はやはり何よりも楽しいです(大変なのはその後のデータ作り)。
良かったら一緒にお仕事をしましょう。ぜひクリエイター募集にご応募ください!
「まだクリエイター募集に出すほど自信はないなぁ」という方は、気軽に応募できる年賀状コンテストへどうぞ。実際ここから年賀状作家になった人もいらっしゃいます。
成長アルバム
いくつか質問を受けていますので答えます。
Q.本に掲載している写真はどのように決めているの?
A.
本にも案内していますが、「スナップ写真募集」という企画を行っていて、読者さん参加型のコンテンツとしています。
あと、年賀状コンテストや読者プレゼント、はがきチャリティなど読者さんが参加できるコンテンツはできるだけ続けていきたいなと思います。一緒に作っている感もあってこちらも嬉しいのです。もちろん、社員やデザイナーさんなど関係者のご家族にご提供を依頼することもあります。
何年かやっていると常連さんも現れて、「大きくなったな~この子」というのは制作時の編集部会話のあるあるです。数年分集めると、本自体が子どもの成長アルバムのようになっていたりします。
興味のある方はこちらからどうぞ。
「筆〇〇」
Q.筆まめ、筆ぐるめ、筆王ってどう違うの?
A.
確実に若い人の質問です。と言っても、アラフォーくらいまではわからなくても不思議ではないと思います。
「筆〇〇」と言えば「はがき作成ソフト」です。パソコン年賀状が当たり前となった90~00年代には誰もが知る有名ソフトとして君臨。中でも筆まめ、筆ぐるめ、筆王は「3大はがき作成ソフト」と言っても過言ではありません。
年賀状素材集と同年に著書を発刊された著者さんに、『はやわざ筆〇〇年賀状』シリーズの一企画で出てもらったことがありますが、著者さんのお父様の反応が、
著書のときは「へぇ、がんばっているね」くらいだったのに、
年賀状のときは「え、なんで筆〇〇の雑誌に出た? お前すごい!!」だったそうで。
その世代へのブランド力の高さに驚きます。(お父様、著書もかなりすごいと思います!)
どれもはがき作成ソフトではありますから、違いと言うと、ソフトとしての使い勝手はもちろん、イラストであったり選べる書体(フォント)であったりいろいろなところで差別化されています。使ってみると使い勝手はそれぞれ全然違うことはすぐわかります。
どれを選べばよいかは、慣れと好みが大きいと思います。最近では「筆結び」といったソフトも登場して、インプレスの本にも収録しています。いくつか触ってみて、使いやすいと思ったものを選ぶとよいです。
さてさて、年賀状、出す人は準備をお早目に。
ちなみに2022年はネコ科の寅年。トラって可愛いしカッコいいしで、見ているだけで楽しいですよ。
ダウンロードやスマホ、電子書籍にも対応して、様々なライフスタイルにマッチングさせた寅年年賀状、ぜひご覧くださいませ。