全編マンガのUnity解説本。なぜマンガになったのか?――『マンガでわかる Unityゲーム開発入門』
マンガはわかりやすくて覚えやすい
はじめまして。
『マンガでわかる Unityゲーム開発入門』の著者のもりやまゆうたです。
この本は、タイトルにも「マンガでわかる」と入っているように、全編マンガで構成されています。
テキストとスクリーンショットの解説の中にマンガが挟まっているのではなく、全編マンガ、というところがポイントです。
では、なぜマンガにする必要があったのか?
それは「わかりやすくて覚えやすいから」です。
Unityに関して、これまでさまざまな書籍を読んだり、インターネットで調べたりしてきましたが、そのほとんどは文字が多く、読み始めるのが億劫になってしまいそうで、「まず読む気を起こさせるような導入が必要だな」と感じていました。
そこで、文字ではなく、絵、キャラクター、ストーリーがあるマンガという形態を選ぶことにしました。
ゲーム業界の人間や大人だけではなく、誰でもゲームが作れるんだよ、ということを伝えたかったので、小学生を主人公にして、夏休みの宿題の自由研究でゲーム制作をすることになった、というストーリーにしました。
前述のとおり、導入部分が大事だと思っていたので、いきなりゲーム制作のマンガが始まるのではなく、最初の何ページかは「Unity」という言葉すら出すことなく、イントロをじっくり描かせていただきました。
そして、なぜ、マンガだとわかりやすくて覚えやすいのか?
その答えは、子供のころに習った学校の教科書の内容は覚えていないけど、図書室で手に取った、マンガで描かれた伝記や歴史の本の内容は、大人になってもけっこう覚えている……ということはないでしょうか?
絵、キャラクター、ストーリーがあれば、イメージで内容を覚えたり、思い出したりすることができる。
こういった点でも、マンガという形態は解説書としてベストだと感じています。
キャラクターやストーリーがあることで、「そういえば、金剛力士が出てきたところで自動的に動くスクリプトの解説をしていたよな」とか、本の内容を復習したいときに脳内検索しやすいのではないかと思います。
筆者自身の失敗だからリアリティーがある
ストーリーがあるということは、そこでさまざまなことが起きるということです。
なので、このマンガの主人公は失敗をします。
文字ベースの解説書なら的確に無駄なく工程が進んでいくかもしれませんが、このマンガでは、物理演算がうまくいかずオブジェクト同士がすり抜けてしまうなどの失敗のシーンがあります。
これもマンガの本ならではのことだと思います。
主人公はゲーム制作の素人なので、何も失敗せずゲームを完成させられるわけがありません。
じつは、これらは著者自身がUnityでゲーム作りを始めたころの失敗をそのままマンガにしたものなので、リアリティーがあると思います(笑)
主人公が失敗して焦っている姿を見れば、ゲーム制作において、この部分を作るときにはこういうミスがあり得る、ということを知識として持つことができるのではないかと思います。
セリフにもわかりやすくするひと工夫
さて、ここまでマンガにしたことのメリットを説明させていただいたわけですが、マンガになったとはいえ、そこはゲーム制作の解説書です。
専門的なことを説明するときは、どうしてもセリフの文字数が多くなってしまう場合があります。
文字が多いと読むのが億劫になるというのは冒頭で言ったとおりで、このままでは最初にこの書籍に課した課題をクリアーできない……。
そこで、ここでもこれまでのようにイメージ、つまり視覚的に少しでもわかりやすくなるような工夫をしました。
文字数の多いセリフでも、その中のポイントとなるワードを太文字にして、パッと文字のカタマリを見ただけでも、何について話しているセリフなのか、何が重要な部分なのかを、視覚的・感覚的にわかりやすくしました。
シューティングゲームの仕組みは応用しやすい
この書籍は、Unityでシューティングゲームを制作する内容になっています。
最後に「なぜシューティングゲームなのか?」について少し解説したいと思います。
ゲーム制作の入門編としての内容にするつもりだったので、まずゲームというジャンルのステレオタイプとしてわかりやすいのはシューティングゲームかなという感じで、かるい気持ちで決めました。
でも、ストーリーをイメージしながらサンプルのシューティングゲームを作り始めてみると、これは初めに作るゲームとしてピッタリだなと思うようになりました。
プレイヤーを動かす
弾を敵に当てて倒す
この仕組みを作ることができれば、その応用でプレイヤーを動かしてゴールを目指すアクションゲームや、敵に攻撃を当ててダメージを与える格闘ゲーム、特定の条件で衝突したときにオブジェクトを消すパズルゲームなども作れます。
マンガの後半では、敵を倒したときに得点を表示する、という仕組みも作っていますが、これは何かをキッカケとしてテキストを表示する、という応用で、ロールプレイングゲームのような壮大なものを作ることにつなげられます。
こんな具合に、ゲーム制作の入門書として活用していただいたり、また、何年後かに、このマンガが自分のゲーム作り人生の始まりだった……などと読者様に思っていただけたりしたら、この本も幸せだと思います。
どうぞ、本書をよろしくお願いいたします。
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