『ストーリーで学ぶネットワークの基本』「超わかりやすい本を!」にいかに応えたか
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『ストーリーで学ぶネットワークの基本』「超わかりやすい本を!」にいかに応えたか

インプレス出版事業部
「ネスぺ」シリーズなど、技術書、資格書のヒット作で知られる左門至峰さん。今回は、小社刊『ストーリーで学ぶネットワークの基本』に込めた意図や思いについて、note記事をご執筆いただきました。

著者自身、何度も入門書で挫折した…

ネットワークエンジニアの左門至峰です。
クラウドがものすごい勢いで普及しています。従来であれば、LANとWANを中心に考えればよかったネットワークですが、それにクラウドが加わり、難しいネットワークがさらに複雑になりました。それに、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)という言葉があるように、これまではネットワークに接続されていなかった家電や車などもネットワークに接続されます(大変な時代です)。

ですが、いくらクラウド化やIoTが進んでも、ネットワークの根底にある基礎知識は変わりません。OSI参照モデルでレイヤを理解し、TCP/IPを中心としたプロトコルを理解することが大事です。これまでの多くのネットワークの入門書でも、OSI参照モデルの話から始まるのが鉄板ですが、このようなOSI参照モデルの階層ごとにネットワークの概念を解説する多くの入門書で問題となるのが、以下ではないでしょうか。

・概念ばかりで面白みがない
・概念と実務が全く紐づかない

かくいう私も、新人のころは、ネットワークの入門書を最後まで読み終えることができず、何度も挫折しました(ページ数も多かったですし)。今では、国家資格の「ネットワークスペシャリスト」の過去問解説である「ネスぺ」シリーズ(技術評論社)を出させてもらっていますが、当時は、ネットワークはチンプンカンプンで、「レイヤって何?」という状態した。「もっとわかりやすく説明してくれ」と思ったものです。

「わかりやすさ」と「面白さを」を追い求めた2年半

さて、今回、インプレスさんから「ネットワークの超わかりやすい本を」という話をいただいたとき、先ほどの問題を解決できるような「わかりやすくて面白い本」を書きたいと思いました。そこで、「単調で退屈な学習」や「現場で使えない知識のつめこみ」ではなく、「楽しく学習できる」、なおかつ「現場で使える知識が身に付く」書籍を作りたいと考えました。「わかりやすいとは何か」「面白いとは何か」という点では、編集者との度重なる意見の相違がありました。それを乗り越え、やっとこの本を書き上げることができました(その結果、この本の制作には、足掛け2年半の歳月がかかってしまいました…)。

最重要テーマ「トラブル対応」を“ストーリー”に

では、本書はどんな内容になったのでしょうか。
まず、「楽しく学習できる」ようにするため、本書は全ての章のはじめと終わりに"ストーリー”を入れています。テーマは「トラブル対応」です。ネットワークに関する仕事で、一番問合せが多く、大事なのは「トラブル対応」といっても良いくらい、重要なテーマです。主人公である新人SEの剣持成子(拙書「ネスぺ」シリーズのメインキャラクターです)のもとへトラブル発生の連絡が入るところからストーリーが始まります。そして、トラブルを解決するのに必要な知識解説をはさみ、その知識を基に再び主人公がトラブル解決を行うストーリーで締めくくられます。
このとき、どうやってトラブル対応をするかがネットワークエンジニアの腕の見せ所です。目には見えにくい通信において、何が起こっているのかを判断するのは簡単ではありません。それに、トラブル対応に正解はありません。ですが、トラブル対応にはテクニックがあります。たとえば、1章で紹介する「切り分け」です。やみくもにトラブル解決をするのは非効率です。トラブル原因を明らかにするために、正常な部分とそうでない部分を切り分けていきます。2章以降でも、私の長年のネットワークエンジニアとしての経験を駆使し、どうやってトラブル対応をするか、その方法までご紹介しています。

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ストーリーを楽しむだけでなく、解決のストーリーを読む前にいちど自身でトラブルの原因について見当をつけてみるのも面白いでしょう。

「現場」をイメージできる本にするための工夫

次に、「現場で使える知識が身に付く」ようにするため、実際に現場で使われている主要メーカーのネットワーク機器の写真や、ネットワーク構成図をふんだんに掲載しました。

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また、入門書ではめずらしい、ネットワーク機器を操作するコマンド例や、実際にネットワークエンジニアがよく使うツールなども紹介しています。
本書を読み終える頃にはきっと、「現場」をイメージできるようになっているでしょう。

現場で使える知識を体系的に身に付け、頼られるエンジニアになろう!

さて、本書は、楽しく読みやすい本にしていますが、ネットワークの体系立てた理解も必要です。ですので、トラブル対応のストーリーを入れながらも、本書はOSI参照モデルの階層を意識して解説しています。もちろん、低レイヤから順番に解説をしており、一つずつ理解を深めてもらえるようになっています。(体系立てた解説と、トラブルおよびその解決策を対応させるのが、とても大変でした)

本書は、ネットワークの理論だけを学ぶ本ではないので、「苦労して一冊読み終えたけど、実務では全く役に立たなかった」ということはありません。ぜひ本書で、楽しく、現場で使える知識を身に付けてください。
また、トラブルを素早く解決して「けっこうやるじゃん!」と周囲から頼られるようなエンジニアになってください。

左門 至峰(さもん しほう)
ネットワークスペシャリスト、株式会社エスエスコンサルティング代表。大手システムインテグレーターに入社後、主にネットワーク、セキュリティ関連の仕事に携わり、大規模プロジェクトを多数経験。
執筆実績として、『ネスペR1 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説』(技術評論社)、『FortiGateで始める 企業ネットワークセキュリティ』(日経BP社)、『Aruba無線LAN設定ガイド』(技術評論社)、『日経NETWORK』や「@IT」での連載などがある。
保有資格はネットワークスペシャリスト、プロジェクトマネージャ、技術士(情報工学)、情報処理安全確保支援士、システム監査技術者など多数。

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