好きな本は何度も繰り返し読みたい

編集の仕事をしていると人に話すと、「積読（つんどく）はほどほどに」「図書館みたいな家に住んでそう」などと、蔵書量について言及されることがあります。確かに本は好きだし、仕事柄本に触れる機会も多いですが、私の本棚はすっきりしたもの。ビジネス書や解説書が20冊ほどと、好きな小説が10冊くらい。その理由は2つあって、1つは電子書籍を購入することが増えたということ、もう1つは本棚には何度も繰り返し読みたいものだけを置いているからです。好きな本は何度も読むタイプなので、内容を知っていても、息抜きにちょっと、寝る前にちょっと、という感じでよい気分になりたいときに繰り返し読みます。

文庫本をハードカバーにカスタマイズする

何度も繰り返して読んでいると、当然本はくたびれてきます。その趣もよいのですが、繰り返し読みたい本をさらなる高みへ‥‥‥ということで、本の仕様をカスタマイズしてしまったのがこちら↓。持ち歩きに便利な文庫本にハードカバーを付けました。本を分解して、サイズに合わせて厚紙を切り、気に入った柄の紙を貼り付けています。重厚感とコンパクトさがあいまって不思議な魅力です。

中もハード仕様にしていて、見返しやしおり、花布（はなぎれ）なんかも色を合わせて付けています。花布は完全に装飾でしかないのですが、ときめくポイントです。一番難しいのは空気が入らないように厚紙と柄の紙を貼り合わせる作業でしょうか。見た目にも大きく影響するので丁寧にかつ素早く貼ります。

ハードカバーにしたあとも読み返しすぎて、ボロボロなんですが、角がとれた感じなど経年変化も味がありますよね。お気に入りの本にますます愛着がわきます。ボロボロ感が好きな人は、あえて毛羽立つ質感の紙を使うのもおすすめです。
ただ、文庫本でサイズが小さいので、ハードカバーだとちょっと――というかけっこう読みづらい。混雑した電車の中などは脇をしめて読まないといけないので柔軟性のないハードカバーは少し邪魔になるかもしれません。しかしそんなことは些事といえるほど見た目がかわいいのでよいでしょう。（個人的な感想です。）

本当に自己満足のためだけに作ったものだったのですが、以前友人にこの本を貸したところ、とても好評だったので、今回このような機会をいただいたこともありお披露目となりました。
ハードカバーを付けるワークショップや、製本キットなども売られているので、興味がある人はぜひ試してみてもらいたいです。

ブックカバーを集めるのが好き

自分でカスタマイズするのも楽しいですが、書店で付けてもらえる無料のブックカバーも好きで、気に入ったものはファイリングしています。旅行にいったときに地域限定の書店に立ち寄るのもこのブックカバーが目当てです。書店によってさまざまなデザインがあり、その違いや工夫が面白いです。ときどき広告用のカバーに出会えると嬉しいですよね。いつもと違うデザインだ！ とテンションが上がりませんか？ 映画やキャンペーンの広告カバーなど、数年経って見ると懐かしい気持ちになります。

デザインだけでなく掛け方もよく見ると書店によって違います。少し前にテレビでブックカバーの掛け方特集のようなものをやっていて、いろいろな方法があることを知りました。カバーが取れないように切り込みを入れる方法や、お客さんの来店が多い書店ならではの素早く掛けられる方法など。レジで店員さんがささっと掛けてくれますが、ピシッときれいに掛けるのは意外と難しいのです。昔書店でアルバイトをしていたときに、あまりにカバーの掛け方が汚いということでお客さんから怒られた苦い思い出があります。

まだまだ終わらないハードカバー熱

文庫本のハードカバー仕様に味をしめたので、ハードカバーのノートも作ってみました。メモを取ったり、落書きしたり、無地のノートはけっこう使うのですが使い終わったら捨てることがほとんど。ずっと持っておけるノートを作りたくて、厚紙を付けてしまいました。
これはカバーだけでなく、中の紙も裁断したものを束ねて背面をボンドで糊付けするところから作ったのでとても大変でした。本と同じようにしおりや花布が付いており、高級感のある仕上がりが気に入っています。

難点をあげるとすると、これも作ったあとに気づいたのですが、もったいなくて何も書けない‥‥‥。本と一緒に本棚に収納しています。

身の回りのものをアレンジ、制作するのは楽しい。作ったあともずっと楽しいですよね。本のカスタマイズの次は本棚づくりかなと創作意欲がわいています。賃貸物件なので大がかりな作業はなかなかできませんが……。