著者×編集者対談|投資家が集まる投資バーを舞台にした書籍とは? 『投資家バーの常連客から聞いた 投資の成功術』の制作秘話
書籍制作の経緯と投資家バーの雰囲気
編集部 関口(以下、関口) この本の企画化のきっかけは、私から今泉さんにお話を伺ったのが制作のきっかけでした。最初にメールを受け取った際は率直にどう思われましたか?
今泉 早人さん(以下、今泉) 書籍制作依頼は初めてだったので、単純に「面白そうだな」と思いましたね。「どうやって書籍を作っていくんだろう」という不安も多少はありましたが、関口さんがリードしてくださったので助かりました。
関口 そう言っていただけると嬉しいですね。実は最初、直接お店にお客さんとしてお伺いして、打診しようと思っていたんですよ。ただ、勇気が出ず、メールになりました(笑)。
今泉 そうなんですね(笑)。関口さんはどうしてこの企画を思いついたんですか?
関口 もともと私がお金に関する書籍をよく編集していて、日常的に情報収集をしているのですが、ある日、新聞で「STOCK PICKERS GINZA」の存在を知ったのがきっかけでした。「こんな面白いバーがあるんだ! ぜひ投資のコツについて知りたい!」という気持ちで連絡しました。
今泉 株価の上下が激しい際など、よく出版社から新聞や雑誌の取材を受けるんです。私としても常連さんの投資のお話を掲載した書籍が発売できたのは嬉しいですね。
関口 そうなんですよ。制作にあたって「常連さんの必勝法を紹介する形式」にするのは決めていました。今回はバーという場所の雰囲気を大事にしたかったので、あえてマスターと常連さんの会話形式にしたのもポイントですね。
今泉 書籍のなかにも書いているのですが、「STOCK PICKERS GINZA」では毎日、違った話題が繰り広げられているのが面白いんです。ある人は投資初心者の方に技法とかを教えていたりして盛り上がることもあります。他にも、株価が変わったりすると、お客さんの投資の状況が変わったりして、まったく違う会話が生まれるんですよね。書籍では、そういった常連さん同士で盛り上がった会話の熱量が反映されていますよね。
投資家バー「STOCK PICKERS GINZA」について
関口 「投資家バー STOCK PICKERS GINZA」は、個人投資家をターゲットにしたユニークなバーですよね。そもそも、今泉さんはどのようなきっかけで、このバーを開こうと決意されたのでしょうか?
今泉 もともと、「STOCK PICKERS GINZA」のオーナーが「投資家同士が気軽に話せる場所って少ないな」と思って開きました。大阪には投資家バーがあったんですが、東京にはなかったんですよね。
そこから、オーナーから私にバー運営の話が舞い込んできて「ぜひやらせてほしい」ということで、マスターに就任しました。
関口 銀座という立地も、投資家が集まる場所として非常に適していますよね。
今泉 そうですね。投資家バーと聞くと、初心者の方にはちょっとハードルが高いように感じられるかもしれないんですが、もちろん初心者の方も、大歓迎です。常連さんがいろいろと教えてくれるので、ためになると思いますよ。
バーでの日常をリアルに再現
関口 この書籍には7名の個人投資家の方が登場します。このメンバーはどうやって選ばれたのでしょうか。
今泉 本当にキャラクターが濃い常連さんが多いので、悩みましたね(笑)。まずは投資のスタイルがそれぞれ違う方を選びました。デイトレーダーだったり、スタートアップ投資、高配当バリュー株投資などで分けました。あと、その人の私生活でも分けました。もちろん専業投資家の方もいますが、会社員の方など、ライフスタイルもばらけさせています。書籍を買った方が自分の投資に生かせるように工夫した点ですね。
関口 なかでも印象深い常連さんはいらっしゃいますか?
今泉 そうですね。皆さん印象深いんですが、なかでもマサニーさんは、やっぱりSNSでも有名人ですし、46億円という資産額だけ見てもびっくりですね(笑)。再現性のある方でいうと、なべさんの高配当バリュー株は誰にでもお勧めしやすいスタイルです。勉強になる方も多いと思いますよ。
関口 そうなんですね。今泉さんのおっしゃる通り、7人ともスタイルや生活が違うので、多くの方の参考になったらいいな、と私も思っています。
書籍で投資話を説明するパートでは、冒頭部分だけは創作で、必ず常連さんがお店に入ってきて、マスターと会話を始めるところからはじまります。
今泉 まさにお店の雰囲気を忠実に再現していて驚きました(笑)。この部分は著者の酒井さんが書いたんですか?
関口 実は冒頭は、私がメインでアイデアを出して著者と一緒に創作したんです(笑)。事前に常連さんにアンケートを取らせてもらって、それをもとに書きました。
今泉 そうだったんですか。この部分がまさに「STOCK PICKERS GINZA」のリアルさを醸し出していて、本の魅力になっていますね。
難しかったのは、投資のレベルをどこに合わせるか
関口 今回は初めての書籍制作だったと思いますが、特に大変だった部分はどこでしたか?
今泉 そうですね。私はスケジュール調整が大変でした。お仕事されている方もいらっしゃるので、頑張って調整しましたね。
関口 インタビューもお店で行ったのですが、営業中にスペースを貸していただき助かりました。
今泉 お店でインタビューしたこともリアリティに反映されていると思いますね。関口さんは大変だったことも多かったんじゃないでしょうか。
関口 そうですね。常連さんが皆さん熟練者なので「読者のレベルをどこに合わせるべきなのか」は悩みましたね。初心者すぎると、読み手と書き手のレベルの違いが出てしまうなぁ、と。
結果的には「初心者もフォローしつつ、メインは投資を行っている方向け」という部分で落ち着きました。積み立て投資や株など、手法は問わず、より投資にはまるきっかけになればと思いますね。
今泉 そうですね。まさに「まったく投資をしたことがない方」だと、若干難しいかもしれません。ただこの書籍ではさまざまなスタイルを扱っているので、広い方に刺さる内容だと思いますね。
関口 ちなみに他の常連さんには書籍の話は伝えたんですか?
今泉 はい。最初は冗談だと思われていたんですよ(笑)。ちょっとずつ書籍の見本ができていて、やっと信じてくれるようになりましたね。
関口 それはうれしいですね。刊行後、5回にわけてSTOCK PICKERS GINZAで、5名の常連投資家の方々を招いて講演会をするので、それも楽しみです。
今泉 はい、そうですね。書籍やイベントをきっかけに、まだバーに来たことがない方にもぜひ足を運んでください。書籍の表紙をイメージした限定カクテルも作ったので、ぜひ飲みに来てほしいです。
関口 実際に勝ち続けている方のリアルな話を聞ける場所は限られていると思うので、いい機会ですよね。最後に読者の方にメッセージをいただいてもいいでしょうか。
今泉 投資を始めた方は、始めに出会った方のやり方を真似しがちだと思うんです。ただ、実際は入金できる金額、投資に使える時間などが自分に合っておらず、失敗してしまうケースが多いと思います。
その点、この本ではいろんなスタイルの方を紹介しています。ですので、自分に合っているスタイルを探してください。そのうえで、お店にも気軽に足を運んでみて、常連さんにアドバイスをもらうのもいいと思いますよ。
関口 今日はありがとうございました。
ーー出版記念イベントでどんなお話がまた聞けるか楽しみです。お二人ともありがとうございました!
(文:緒方優樹)
【出版記念対談イベント】
▼開催日:12月25日(登壇者:Kojiさん)
▼開催日:1月8日(登壇者:お菊さん)
▼開催日:1月15日(登壇者:サマンコーさん)
▼開催日:1月22日(登壇者:なべさん)
▼開催日:1月29日(登壇者:ナスダッ子さん)
▼対談で登場した書籍
『常連投資家7人から学ぶリアルな必勝法』
凄腕トレーダーたちが夜な夜な集う「投資家バー STOCK PICKERS」で常連投資家7人から学ぶリアルな必勝法。常連投資家たちの技法、思考、裏話までここだけの本音が聞ける! ———常連投資家と新米投資家がこのバーで出会うと、どうなると思いますか? 常連投資家は、自分が導き出した知識・技術、そして成功体験を新米投資家に教え始めるのです。そう、みなさんは投資の話がしたくてこのバーに訪れるわけで、新米投資家には惜しげもなく知識・技術を披露してくれるのです。そんなバーの日常風景を本にしました。(「はじめに」より)