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占星術の超初心者の編集者が一番わかりやすい西洋占星術の入門書をつくった話

PC・IT書がメインのインプレスでちょっとテイストが異なる本ばかり作っている編集の杉本です。PC書に精通した猛者が集う会議で「う~ん、ちょっと分からないなあ」と言われてしまう企画を熱意で押し切って楽しくお仕事をしています。

そんな私がこのたび担当したのが『占い芸人ますかた一真の自分で占えるようになる西洋占星術の超入門』です。12月9日に発売されたばかり! この本では初心者でも本格的に占いを始められる西洋占星術の基本を紹介しています。

著者のますかた一真さんは吉本興業所属の占い芸人さんです。

なんでも「占い芸人育成プロジェクト」なる企画で総勢100名以上の中から1位になり、数々の芸人さんのコンテスト優勝や結婚・出産などのライフイベントを的中させたとか。いまや占いの館で対面鑑定までなさっているけれど、実は占いを始めてたった3年(すごい!)。

そんなますかたさんに執筆を依頼したのは今年の2月のこと。あとがきを書くまでドッキリかもという疑念を捨てきれなかったそうですが、依頼から発売まで約10ヶ月で無事に刊行することができました。

▼ますかたさんの執筆日記も公開中

著者視点の制作秘話は上記のコラムをお読みいただくとして、この記事では編集者視点で10ヶ月に及ぶ製作を振り返ってみようと思います。

心は常に著者と共にあり

製作期間の10ヶ月(の特に最後の3ヶ月くらい)、心は常に著者と共にありという状態でした(勝手に)。

というのも、占星術の超初心者の編集者が「初心者にも分かりやすい西洋占星術の入門書」という企画を形にするため、原稿の内容がどんな意味なのかを考えに考え、ときにしつこく著者に質問し、ときに著者の気持ちになって原稿を読み直し、「勝手に」心を張り付けているような状態だったのです。

ますかたさんの原稿はとっても柔らかく優しく、分かりやすい筆致です。

本書の紙面の一部

それでも、西洋占星術自体が難しいので、ちょっとでも複雑な内容だと私などは混乱してしまいます……。そこで、見ていても楽しい、インパクトがあって一瞬で覚えてしまうようなイラストを入れようと思いました。

著者のイメージをイラストで視覚化する

解説イラストで白羽の矢を立てたのが、イラストレーターのうのきさん。

超多忙な有名イラストレーターさんですが、毎日Twitterにイラストを投稿していらして、きっとイラストを描くのが楽しくて仕方がない、という方に違いない……! と想像してご依頼しました。想像通り、依頼から納品までがめちゃくちゃ早かったです。その節は本当にありがとうございました……!

さて、前置きが大変長くなりましたが、

著者のイメージをイラストで視覚化する

難しい解説はイラストを使うことでぐっと伝わりやすくなります。
今回製作したのは、初心者向けの入門書なので、ちょっとコメントが添えてあるひとコマ漫画のようなカットや、キャラクターのイラストなどを入れていくのがいいだろうなと思っていました。

たとえば、本書では西洋占星術の12星座を大まかに4つの属性に分類しているのですが、それぞれの属性の特徴を誇張して表現した、キャラクターイラストがこんな感じ。

星座ごとの特徴を捉えていてインパクトありませんか?
このイラストは最初に制作したもので、依頼時にお渡ししたのは著者のイメージラフだけでした。

うのきさんに送った、ますかたさんのイメージラフ

こう見ると、うのきさんの肉付けがすごい! ますかたさん曰く「絵は苦手」とのことでしたが、さらに西洋占星術で用いる惑星のイメージをラフを依頼してみると……

ますかたさんが書いた惑星のラフ

とっても個性的なキャラクターのラフをいただきました。

こちらのイラストをうのきさんご依頼する前に、「このままだとどんどん個性的なキャラクターが増えていくな……」と思いました。先の依頼をあれだけ肉付けして描いてくださったうのきさんです。個性的なキャラクターが単体で増えすぎると、覚えるのが大変そうです。

原稿からラフを起こしてみる

そこで、著者のキャラクターイメージを活かしつつ、私が原稿を読み込んで、文章からひとコマ漫画みたいなカットのラフを考えてみました。

原稿によると、最近人気の「月星座」は、映画でいう「主人公がひとりでいるシーン」のキャラクターに例えられる、とのこと。無意識で無自覚だけど、ひとりでいるときに出てくるキャラクターが、西洋占星術の「月星座」で分かるのだそうです。

そこで「月」の挿絵は、月のキャラクターがひとりでいる場面いくつかをひとコマに収めて、以下のようなラフを起こし、うのきさんに描いていただきました。

うのきさんに送った月のキャラクターのイラストラフ
完成した月のキャラクターのイラスト

ますかたさんも「イメージにぴったりです!」とおっしゃってくださったので、本書のイラストは著者のイメージを活かしつつ、原稿の内容をベースにラフに起こして進めていきました。

ラフが本当にラフな絵でも、イラストレーターさんは絵のプロです。著者のキャラクターイメージと、編集者のシチュエーションのラフで、ここまでのイラストに仕上げてくださいます。

執筆が早いますかたさん、制作が早いうのきさんのおかげで、どんどんイラストが出来上がっていきますが、ポンコツ編集がうまくラフを起こせないことも。そんなときはますかたさんが丁寧にアイデアをくださいます。

素敵なアイデアでラフをサクっと作り、うのきさんにイラストにしていただきました。

イメージを掴むと、メモだけでイラストができる

うのきさんが完全にイメージを掴んだころには、最初に4分類した属性と動物を指定するだけで、完璧なイラストが上がってくることも……

「火属性の顔をした羊をお願いします」で上がってきたおひつじ座のイラスト

……本当は、編集のお仕事はとっても大変っ!という記事になると良かったのですが、編集者って何も作り出すことができないのです。

才能ある素晴らしい著者さん、素晴らしいイラストレーターさん、その他たくさんの素晴らしいクリエイターさんがいてこそ、頭の中にぼんやり浮かんだ企画を、実態のある書籍という形に作り出すことができています。

でもでも、そんな私でもこの本によると、なんと他者の才能をニュッと引き出す運命なのだそうです☆

自分の生産性のなさが情けない日々でしたが、本書を読んで、いろんな才能ある方々をつなげて本を作り出すこの仕事が、天職だと気付かされた次第です!

ポンコツ編集の心を救った『占い芸人ますかた一真の自分で占えるようになる西洋占星術の超入門』。

「占いは信じてないよ~」「どの項目を読んでも当てはまる感じがする」という方は、騙されたと思って一度読んでみていただけると嬉しいです。どの項目もあてはまる気がするけれど、自分の持って生まれた星は、驚くほどコンプレックスを癒やしてくれます。好評発売中です。

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