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1人でも多くの人に共感や気づきを。1年前の種から咲いた『クリエイターのためのフリーランスハック』の裏側

「この本の企画ってどうやってできたの?」「本のタイトルってどう決めているの?」担当編集者が普段見せない本づくりの裏側やこだわりを紹介する本企画。今回ご紹介するのは、6月12日発売の新刊『クリエイターのためのフリーランスハック』。本書の構想自体は、なんと約1年前(!)からあったのだとか。企画を考えた経緯や本書の見所などを、担当編集・浦上に聞きました。

今回紹介する書籍はこちら!

―――まずは、この本の内容について教えてください!

映像クリエイターやデザイナーといったクリエイティブ系のフリーランスを目指している方、あるいは現在フリーランスとして活動している方向けに、仕事の受注戦略やメンタルリフレッシュなどの方法を紹介しています。

著者は、映像クリエイターでフリーランス歴12年の金泉太一さん。自身の経験をもとに、「安売りという蟻地獄から抜けられない。原因はどこにある!?」「月収5万円アップは茨の道。じゃあ50万円アップを目指そうの理論」「Only1ではなくNo.1を目指さなければ仕事が取れない理由を知ろう」など、さまざまな視点でフリーランスの多くが抱える悩みや問題について解決方法を提案しています。

また、著者以外の現在フリーランスとして活躍されているクリエイターにもご協力いただき、それぞれのキャリアを振り返る「お仕事年表」、仕事の中で「大変だったこと」「大切にしていること」などをインタビューしてまとめた内容も見どころの一つです。

―――活躍されている方たちの実体験だからこそ、生きたノウハウが身につきそうです! この企画はどんな経緯ではじまったんですか?

金泉さんの著書「Premiere Pro よくばり入門 改訂版」を制作しているときの雑談の中から生まれました。制作中の打合せで「フリーランスって10年続けるのは本当に大変。続けるためにこういう対策をしてきた」「でもフリーランスだからこそできることもいっぱいあって……」という話をたくさん聞いていました。「なるほど」と感心させられる話ばかりで、これは企画してぜひ書籍にしたいと思ったのがきっかけです。

―――企画の構想自体はかなり前からあったんですね。「フリーランス向けの本」といっても、始め方やお金の話など、さまざまな切り口が考えられると思います。そこからどのように企画を詰めていったのでしょうか?

企画段階で「どういう本にしたいか」というところは、著者ともよく話をしました。一番悩んだところかもしれません。「なぜフリーランスという働き方を選択するのか」という質問に対して「稼ぎたいから」という人もいれば「時間に縛られない働き方がしたいから」という人もいると思います。

なので「この本を読めば年収○○万円!」というような、収入に特化した内容ではなく、フリーランスのライフスタイル全体の問題について、あらゆる「ハック」を紹介する内容にしようという感じで話がまとまりました。それもあって、メンタル面での悩みに対してもさまざまな提案を盛り込んでいます。

―――人によって悩みや目的が違うからこそ、何か1つのテーマに絞るのではなく、あえて幅広く役立つものにしたんですね。担当編集として、この本に書かれている内容で、特に印象的だったものは何ですか?

第3章で紹介している受注戦略の一つに「プロジェクト稼働中こそ次の種をまく絶好のチャンス」というものがあります。案件の進行中に次回の受注につながるように、提案をするといった内容です。この原稿があがってきたときに、「今回の企画もまさにコレだ! 前作の段階で金泉さんが種をまいてくれていたんだ!」と衝撃を受けたのを覚えています。

あとになって金泉さんに「当時は気づいていなかったんですが、いつの間にか種をまいてくださっていたんですね」と話すと「私が種をまいて、浦上さんに花を咲かせていただいたという感じですね」と素敵な回答をいただきました。

本書より「プロジェクト稼働中こそ次の種をまく絶好のチャンス」

―――素敵なエピソードですね! 続いて、カバーや紙面のコダワリを教えてください。

紙面は黄色と紺色の2色刷りなんですが、この黄色というのが最後まで迷っていて、候補としては黄緑色もありました。色校正を取り、周りの人の意見も聞いて多数決で黄色にしました。「楽しそうな雰囲気」にしたかったので、結果黄色でよかったと思っています。

カバーも、タイトル文字やイラスト、すべてに活気あってワクワクする感じの素敵なデザインにしていただきました。ちなみにタイトル下の男性は、紙面の中にもたびたび登場する「駆け出しフリーランスの健太くん」というキャラクターです。彼が求める「受注戦略」「メンタルコントロール」「実績・人脈のつくりかた」「スキルアップ」「仲間・コミュニティのこと」に関するテクニックを総括して、フリーランスハックというような構成になっています。

最後まで迷った紙面のカラー。右の黄色を採用

―――お話を聞いていて、各ノウハウのタイトルのつけ方にもコダワリを感じました。最後に、本書のイチオシのポイントを1つ教えてください!

たくさんの「ハック」によって、読者が共感や気づきを得られる点です。
今活躍している人も同じような悩みを抱えていたことがあるんだという共感、そして「こういう考え方もあるのか。その発想はなかった」という気づきも得られる本になっていると思います。
金泉さんも「あとがき」で以下のように述べています。

この本を読み進めていく中で、『それは違うと思う』『私はこう思う』などといった声があるかもしれません。しかし私は、もちろんそういった声があって当然だと思ってこの本を書いてきました。(中略)私が書き進める中で大事にしてきた部分。それは、とにかく一つでも多くの気づきを読者の皆様に提供するということです。とにかく考えるべきポイントを一つでも多く提供できたら、この本の役目は十分に果たせているのではないかと考えています。

『クリエイターのためのフリーランスハック』「あとがき」より

そういった意味では、フリーランスだけでなくクライアントワークを仕事とするすべての方に参考になる本になっていると思うので、仕事に悩んだときにぜひ読んでみてほしいです。

―――フリーランスに限らず、たくさんの人に手に取っていただきたい一冊ですね! 浦上さんありがとうございました!


▼今回紹介した書籍