【働き方十人十色 #09】9年間の新幹線通勤を経てからの快適テレワーク
―――皆川さんのお仕事について簡単に教えてください。
書籍やムック、カレンダーの編集者として、年間で12点前後を制作しています。冬の季節商品が多いので、1年間毎月1点を担当するということではなくて、秋に向けた半年間が特に忙しく、残りの半分は企画の仕込みと書籍制作をするのが1年の流れになっています。
―――現在どのような働き方をしていますか? 出社頻度やその働き方にしている理由を教えてください。
2020年1月末に宣言されたパンデミックから継続してテレワークで働いています。テレワークの進め方や仕事環境はその間に随分と変わりました。もともと大勢で組み上げていく仕事ではなく、自分1人でパソコンと向き合うことが多いので、パソコンが使える環境さえあれば場所を選ばずに進められます。自分にとって居心地のいい場所や生活に便利な場所を、暮らしに合わせて変えてきた4年弱でした。
現在の出社頻度は月に0〜6回です。テレワーク開始よりずっと前の2011年3月に家族で地方へ引っ越して、通勤には新幹線を含めて片道2時間かかっていました。往復4時間をかけて出社しても、テレワークでもやることは同じですから、出社は必要最小限になりました。
―――通勤が往復4時間だったとは驚きです! 現在の働き方になってよかったことは、やはり通勤時間がなくなったことでしょうか?
はい、テレワークになってよかったことは、通勤時間がなくなったこと、満員電車や持病の花粉症からくるストレス、新型コロナだけでなくインフルエンザなどの心配から開放されたことです。地方なので住宅費が都内の半額以下、生活費も低め&ご近所からのお裾分けがあるので、以前に比べて随分と節約になっています。遠い割に交通の便がよいので、出社したいと思えばすぐに行動に移せる、ほどよい距離なこともよいです。
―――このマガジンで皆さんの話を聞いていると、テレワークが主体になったことで、自宅の作業環境を整える方が多くいました。快適に仕事をするために行ったことがあれば教えてください。
パソコンさえあれば作業は進むので、テレワーク初期は自宅のパソコンまわりの環境を重視していました。大型ディスプレイやマウス、Webカメラ、タブレットPC、デスクチェアなどをそろえて、要塞のようなワークスペースで仕事をしていました。ところがしばらくすると、このような環境の充実は自分にとって快適ではないことに気づき、ノートパソコンを片手にあちこち移動するように。ちょっとガヤガヤする場所の方が集中できて、そういえば学生の頃は喫茶店がお気に入りの場所だったと思いだしたりしました。
結局、仕事に集中できるところが快適な仕事環境というのが私流になり、自宅が落ち着かない日は車や徒歩で出かけるようになりました。夜景と星空がきれいなサービスエリア(高速外からも行ける)や、温泉があるスーパー銭湯(お店がテレワーク歓迎)は1日中いられるので、仕事に集中したいときに利用しています。小川が流れる静かなジャズ喫茶や手作りお菓子が美味しいカフェなど、心を癒やしてくれるお気に入りの場所もたくさんできました。
―――続いて、働く際のお気に入りの物を教えてください!
必須アイテムは、MacBook Proです。バッテリーの持ちがよく、ノートパソコンの小さな画面でも窮屈さを感じさせないFinder機能、タイピング音が静かなところがお気に入りです。業務でよく使うAdobe製ソフトとの相性もよいです。トラックパッドが使いやすいので、マウスを持ち運ぶ必要がなく、手持ちアイテムはMacBookとアダプターだけですみます。
もう1つ、予備アイテムとして、小型のポータブル電源をいつも車に積んでいます。外出先ではインターネット接続に困ることはあまりなくて、コンセント確保のほうが難しいです。なのでポータブル電源があれば電源の心配をせずにふらっと出かけられます。ポータブル電源には、USBポートだけでなく普通のコンセントもあるので、いざというときの防災の備えにもなっています。
―――最後に、今後チャレンジしてみたい働き方はありますか?
もうこれ以上ないほど自由な働き方をしてきたので、新たにチャレンジしたい働き方はありません。働き方を選べるということは、効率や快適さだけでなく、今ある生活にも寄り添ってくれます。どちらかを優先するのではなく、両立させた働き方をするというのが今の私のチャレンジでしょうか。
ここ数ヶ月は、後期高齢を迎えた母がいる実家に車を5分ほど走らせて出勤することが多くなりました。仕事の合間に一緒に食事をしておしゃべりをします。1人だと早寝して夜中に目が覚めてしまうそうなので、韓流ドラマを一緒に観ながら22時くらいにお暇します。愛犬と2人で40分ほど散歩しながら実家に出勤することもあります。実家の縁側で日向ぼっこする犬と一緒に仕事をする私を見た母は、本当に仕事をしているのかと半信半疑です(笑)。