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書籍編集者・丸山花梨 ニューノーマル時代の新入社員として【インプレス出版人図鑑】

この春入社したインプレスの新入社員

――今のお仕事を教えてください。

2021年4月にインプレスに新卒で入社しました。2か月の研修期間を経て、6月に資格試験対策書やプログラミング入門書などを作る編集部に配属になりました。今はまだ先輩社員が編集する本のサブ担当という立場で、制作・編集の仕事を勉強しながら、最初のメイン担当の本に向けて少しずつ準備を進めています。

高校生から雑誌づくりに参加

――丸山さんはどんな10代を送っていたのでしょうか。

出身は北海道です。小さいころから目立つのが好きで、小学校では児童会の書記に立候補、中学時代は吹奏楽部で副部長をしていました。高校時代は放課後にフリーマガジンの制作活動に参加していました。毎月高校に配られる『ch FILES』(シーエイチファイルズ)という30ページくらいの冊子で、北海道エリアの高校生スタッフとして芸能人への取材、最新映画のレビュー、推し本や推し音楽の紹介文などを書いたり、テレビやラジオに出演したりしました。あいみょんさんがメジャーデビューするときにインタビューしたことも思い出のひとつ。仕事で北海道にいらしたときに時間がいただけて、「最新曲はどんな曲ですか」「高校時代はどんな風に過ごしていたんですか」など、たくさん質問しました。それまで理系科目が好きだった私でしたが、文転して将来ラジオ制作や雑誌編集の仕事につながるような大学、学部に行きたいと思うようになったのがこの時期です。芸術学部に絞ってたくさんの学校案内を取り寄せて検討し、最終的に大阪芸術大学文芸学科に入学しました。

私の入った文芸学科は、1学年70人のうち65人は作家志望という学科でした。私は文章を書くのは得意ではなかったので、広告の授業でコピーライティングを学んだり、映像学科の授業を履修して映画産業について分析したりしていました。

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大学時代はラジオ番組制作、雑誌編集も

――大学時代にはラジオ番組を作る経験をされたそうですね。

「放送研究会」というサークルに所属していて、各大学の放送研究会有志を集めた「関西学生放送連盟」に参加する機会がありました。関西学生放送連盟はFM大阪と共同で年数回ラジオ番組の放送枠をいただいていたので、このラジオ制作にいち制作スタッフとして加わらせてもらったんです。実際に55分のラジオ番組を2回作りましたが、番組の構成を考えたり、学生にインタビューをしたり、ラジオドラマの脚本を書いてみたり、番組の中で司会進行として話したりと、なんでもやりました。
ただ、この番組を作ったから就職に有利とかお給料が出るとかもないので、当然かもしれませんが途中で離脱するメンバーも出てきます。でも「自分の番組を作り上げるんだ」と、最後まで意地でもやり通す人がいないと番組は完成しない。仲間を説得してまわったり、協力してやり切ったりといった経験は、今の編集者という仕事にも生きているなと感じます。

――雑誌制作もしたことがあったと聞きましたが、それもサークル活動でしょうか。

大学の授業でも雑誌を作る実習はあったのですが、「文芸実験室 南瓜糖(かぼちゃとう)」というサークルを立ち上げました。小説を書きたい人、イラストを描きたい人、写真が好きな人の作品を1冊の雑誌にするんです。部長兼編集長としてスケジュールの調整をしたり、InDesignで印刷データを組んだり、告知用のホームページを制作・更新したり。どういうフォントがいいか、イラストはどこに配置するかを研究しつつの作業で、就活が終わった大学4年の秋以降、半年かけて120ページの本にしました。本当は同人誌の即売会で販売する予定でしたが、コロナ禍でイベントが中止になり、通販で売ることにしました。SNSに「本が届きました!」って写真付きで投稿してくれる人もいて、自分の本が他人の手に渡る実感と感動を味わいました。

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ニューノーマル時代の就活を通して感じたこと

――今年入社されたとのことで、コロナ禍での就職活動は大変じゃなかったですか?

実は、私自身はやりたいことが早くから決まっていたので、インターンは大学2年から始め、3年になってから活動を本格化。主に夏休みや冬休みに大阪から東京に移動し2週間ほど“就活シェアハウス”を借りてさまざまなインターンに参加しました。コロナ禍になる前から早めに準備していたので、秋に本採用のエントリーが開始しても、人より焦りはなかったのですが、また別の不安が……。例えば、コロナ禍で2月以降実施されるようになったオンライン面接もそのひとつです。面接の途中で急に電波が途切れてつながらなくなることがあり、「これで落とされたらどうしよう……」と思ったこともあります。オンライン会議のツールに慣れたり、家の電波の通信状況を改善したりという物理的な面での大変さはありました。求人情報に「募集時期が確定次第、こちらで告知します」って書いてあった会社が急に「今年は採用を見合わせます」となったり、ほかにも採用活動が延期になったりするので、先行きについては不安でいっぱいでした。

――インプレスを受けようと思ったきっかけはなんだったんですか?

父がカメラ好きで、『デジタルカメラマガジン』を知っていたということ。そして昔から図書館で『できるシリーズ』の本を見たことがあったので志望しました。
インプレスに入社する前は、「カメラやパソコン、ガジェットの情報に詳しい人ばかりの会社かな?」と思っていましたが、出版事業部は割とみなさんおとなしくて、ひとりで黙々と作業をしていて、仕事とプライベートをきっちり分けている人が多いなという印象です。でも話してみると意外と自分の趣味に熱くて、そのギャップがとても楽しいです。

インプレスに入社してから半年がたって

――入社して半年になりますね。仕事で大変だったエピソードはありますか?

入社して初めて大きく関わったのが『1週間でITパスポートの基礎が学べる本 動画講義付き』だったのですが、いきなり編集長からゲラの束を渡され、「これをゲラ読みして、おかしいなっていうところをコメントして」と言われたのには戸惑いましたね(笑)。そもそも本の内容がわからないし、プロの編集者としてどのような言い回しで指摘すればいいのか……。それでも自分なりに努力して、後日、「この本できたよ」と実際の書籍を渡され、末尾の奥付に自分の名前を見つけたときには感激しました!まじめにやったら形になるんだな、これからも頑張らなくちゃと思えた瞬間でした。

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――学生時代に編集経験はあるものの、IT系の書籍を作るのは初めてだと思います。自分の知らない分野はどうやって勉強するんですか?

編集部に新卒で入ったのが私1人なので、みんなからよく「大学生が資格を勉強するときにどういうことを知りたいと思っているの?」と聞かれます。私自身、資格の勉強をしたことがないので、それなら実際に体験してみようと、インプレスの本で勉強を始めました。同じように資格の勉強をしている人がSNSに勉強報告を上げると、なるほどこういうところを見ているんだと参考にしたり、あとはひたすら本を読んだり、でしょうか。

――新入社員になってからずっとリモートワークという働き方はどうですか?

満員電車での通勤時間が全部なくなるのはとてもいいです! 通勤にかかる時間を自分の勉強にも使えて充実しています。ただリモートワークだと、上司や先輩に質問をするのが大変だなとも……。まだまだたくさん教えてもらいたいことがあるのですが、リモート中は質問相手の様子がわからないので、「今この質問をしてもいいのだろうか」とタイミングを考えたり、チャットで質問を打っていたら意外と時間がかかってしまってどうしようと焦ったり……。効率よく質問して解決するためには工夫が必要だなと最近感じています。

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将来はメディアミックスに挑戦していきたい

――この先、編集者としてどんな仕事をしていきたいですか?

自分の趣味にラジオがあるのですが、例えばラジオのリスナーやそこから派生したオンラインコミュニティの人と一緒に本づくりを考えたり、本の内容をもとに勉強会を行ったりと、本と本以外のものをつなぐメディアミックスのような仕事ができたらと思っています。学生時代に「本を作りたい、ラジオに関わりたい」と話していた夢を着実に叶えているね、って友達に言ってもらえるように頑張って仕事をしていきたいですね。

――ありがとうございました。

インプレス出版人図鑑】は、書籍づくりを裏方として支える社員の声を通じて、インプレスの書籍づくりのへ思いや社内の雰囲気などをお伝えするnoteマガジンです。(インタビュー・文:小澤彩)
※記事は取材時(2021年9月)の情報に基づきます。


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