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「折り返し地点っていつだった?」と質問したら、予想外の回答が来た話

ビジュアル&ライフ編集部の宇枝です。
2月20日。本日、編集担当した書籍『人生は折り返し地点からがきっとたのしい』が発売されました。著者のnamytone(ナミトーン)さんは『オトナ女子の暮らしレシピ』を2020年にインプレスで発売し、今回2冊目の著書で書籍の発売は4年ぶり。

今回発売した、『人生は折り返し地点からがきっとたのしい』では、まもなく40歳を迎えるnamytoneさんが大好きな祖母の一言をきっかけにはじめた、人生後半をたのしく過ごすために見直した暮らしのことや、準備のはじめ方を綴った書籍です。

現在、本書のはじめに~第1章までnoteで公開中なのでこちらもぜひ。

元々、この本の制作のきっかけは、
namytoneさんから「書籍2冊目の制作についてご相談したいです」とメールをいただいたことがはじまりでした。namytoneさんから「40代に向けてすっきり暮らす」という書籍のテーマをご提案いただき、一度私の方で企画書を作成することに。
しかし最初は「40代に向けてすっきり暮らす」をテーマにするなら、どんな章立てが良いのか悩み、なかなか企画書をまとめることができませんでした。「すっきり暮らす」は年代問わず、そうしたいと思っている人が多いと思ったのです。そんな迷走の沼から引き上げてくれたのは、namytoneさんのひとつの動画でした。

30代後半になり見つめ直すことがたくさんあります。
人生を時間に例えたら今何時だろう?もうすぐ折り返し地点なのでは?
そう思い自分を取り巻く"コト"について見つめ直してみることにしました。
今回はわたしが見直した5つの”コト”についてご紹介しています。
何かの参考になれば幸いです。

namytoneさんのYouTube動画の内容紹介から

動画冒頭に「人生は折り返し地点からがもっとたのしい」というテロップが大きく映り、「これだ!!」と企画書をまとめたのです。

▼書籍タイトル
人生は折り返し地点からがもっとたのしい
著:namytone

▼企画テーマ

20代は「挑戦」、大学生、就活、就職など新しいことに挑戦する時期。30代は「変化」、仕事も暮らしも一番忙しく、身体にも変化がでて、今後やっていきたいことを見定める時期。20代~30代は暮らしも仕事も「必死」が続く日々。でも、その経験から「良い加減」を覚えて、40代に向けて暮らしは「身軽」で楽になっていくもの。

仕事も落ち着き、いい具合に年も重ね、人生を折り返すこともちらっと考える40代手前。

人生は折り返し地点からがもっと楽しい。

暮らしや考え方、楽しい思い出、仕事の挫折。これまでの人生があるからこその折り返し。折り返し地点からは、これまで培ったものを活かして、日々が毎日楽しくなる。だからこそ、人生後半を楽しむ準備をはじめましょう。
苦しい、不安だけじゃない、40代に向けての暮らしの楽しみ方を紹介します。

実際に作成した企画提案書の一部

企画書をメールでnamytoneさんに送り、「企画テーマ、タイトル最高ですっ!」とお返事をいただき、書籍制作が具体的にスタートしたのは2022年5月でした。

折り返し地点っていつ……?

書籍制作では、まずはじめに台割という本の目次案を作成します。制作スタート時はこんな章立てでした。

CHAPTER1 人生の折り返し地点はいつでしょう?
CHAPTER2 ライフステージとともに変わった我が家の話
CHAPTER3 縛られない、風通しのいい暮らしへ
CHAPTER4 身体と心を癒やす私の処方箋
CHAPTER5 プロ級にひとり時間を楽しむ、私のとっておき
CHAPTER6 年を重ねるもいいものですよ

書籍制作開始時の章立て

しかし、この章立てだと「心地よく暮らすためのアイデアは知れるけど、折り返し地点への準備のはじめ方の話があまり入っていないのでは」と意見をもらったのです。なるほど……。この意見をもらった時、私は読者の持つ悩みや知りたい視点がまだしっかり掴めていないのだと思いました。

台割を考えるときは、読者の視点に立ち、「どんなことが知りたいかな」と考えていくことが多いです。なので、色々な年代の人に「折り返し地点」について取材をしました。そのなかで、「折り返し地点って具体的にいつだろう」とふと疑問に思ったのです。

平均寿命から考えると、人生が72年というのはちょっと早いかもしれませんが、祖母がしんどくなってきた80歳が健康寿命だとしたら、40歳くらいが折り返し地点……。

『人生は折り返し地点からがきっとたのしい』の「はじめに」

著者のnamytoneさんは健康寿命から40歳を折り返し地点と考えられました。人生100年と考えると半分の50代、定年退職などを迎える60代。やはり、年齢という区切りによって、折り返し地点が生まれていくのかなと最初は漠然と思っていました。

「折り返し地点はいつなのか」、と色々な人に取材をしている最中、たまたま定年退職を迎え老後ライフをスタートした私の母。タイミング的にちょうどいいと思い、

「折り返し地点っていつだった?」

と質問したのです。退職後はずっとやりたかったテニススクールに通ったり、刺繍をはじめたり、毎日たのしそうにしていたので、「今だね」という回答が来ると思ったのですが、

「専業主婦からフルタイムで働きだしたときだね」
「あの頃は色々大変なことが多くて不安だったけど、すごい楽しかった」
「あの中継点があるから、今のたのしみがあるかな」

と私にとっては予想外の回答が。母曰く、年齢の区切りでなく自分の暮らしが大きく変わった瞬間が折り返し地点だと思ったそうです。
色々な方からお話を伺い、「折り返し地点」は人によって様々だと実感しました。

・折り返し地点について考えるきっかけになる
・不安がありつつも、前向きに年を重ねて暮らすヒントが知れる
・ライフステージの変化に戸惑ったり、人生後半に不安を感じている人の助けになる

こんな本になると良いなと思い、namytoneさんにも相談しながら章立てを大きく変えました。

Chapter1 人生を折り返すための5つの準備
Chapter2 歳を重ねて、“いまの”自分が整う暮らし
Chapter3 季節のめぐりに心を寄せて時を刻む
Chapter4 乱れやすいココロとカラダに、ちょっといいコトを
Chapter5 経験を重ねて気付いた、ちょうどいい幸せ
Chapter6 背伸びしない等身大の私で考えるこの先のコト

完成した書籍の章立て

そして、書籍の「はじめに」では、namytoneさんが「折り返し地点」について考えるきっかけを綴っていただきました。なので、「はじめに」は前作よりページ数も文字数も多くなっています。

「もっと」を「きっと」へ

打合せを重ね、書籍の章立ても決まり、次は書籍のタイトルに関して編集部内で意見が出ました。この書籍は当初、

人生折り返し地点からが”もっと”たのしい

というタイトルでした。しかし、「もっとたのしい」という表現は、人生を折り返した人が言うべき言葉で、namytoneさんはこれから折り返し地点を迎えるのだから、ニュアンスが異なるのでは、と指摘をもらったのです。

これも、た、たしかに…。「タイトルはこれしかない!」と思っていた私は、また迷走の沼に入ったのです。苦し紛れに仮タイトルで

まもなく人生折り返し地点
ー人生後半の毎日がもっと楽しくなる準備と暮らしのコトー

という案も出してみました。しかし、このタイトルは自分のなかで納得しておらず、原稿を確認しながらどんなタイトルが良いのかずっと考えていました。もちろん、namytoneさんにもご相談しました、

ここ数年、家族や親しい仲の人から「柔らかくなったね(角がなくなった)」と言われることが多々あるのです。
特別に何かを心がけているわけではないのですが、、、
いくつかの人生の節目を経験し、その都度決心したり、諦めたりしながら、自分の心に折り合いをつけてきたので、ある意味、色々なことを整理して手放すことが出来ているのかなと思います。

「人生は、折り返し地点からがもっと楽しい」

最初にご提案いただいた、このタイトル素敵ですよね。やっぱりこれはダメですよね︖

タイトルを相談した際のnamytoneさんからのメールの返信文

この意見を聞いて、更に私はタイトルは「人生は折り返し地点からがもっとたのしい」しかないと思ってしまったのです(笑)。

書籍のタイトルで悩むと、ふか~い悩みの沼から脱出することが中々できません。色々な書籍を読んだり、原稿を更に読み込んだりしながら沼から脱出する方法を探します。

しかし、ひとりで考えても答えが出ないと思った私は、namytoneさんと同世代の編集長の和田さんに相談したのです。私は和田さんに書籍のコンセプトを説明し、「人生は折り返し地点からがもっとたのしい」というタイトル以上に良い案が思いつかないと素直に相談しました。

「”もっと”を”きっと”に変えればいいんじゃない?」
「『人生は折り返し地点からがきっとたのしい』ならテーマとあっているよ」

うわ~!!
たった3文字変えただけで、書籍の世界観もぐっと深まるタイトルに。自分一人では、出なかった答えです。

カバーの写真は「カーテンゆらゆら」で

写真はカメラマン清永洋さんに撮影いただきました。namytoneさんの暮らしぶりだけでなく、内面の芯の強さの部分もおさめていただきたく、贅沢にも4日間も撮影していただきました。
撮影は朝から晩まで、あっという間だったのですが、一番苦労したのはカバーのこちらの写真。

「この先も、たのしいことが待っている」というメッセージを伝えたくて、カバー写真は絶対カーテンがゆらゆらと揺らめいた写真と最初から決めていました。でも、綺麗な光がなかなか入ってこなかったり、カーテンがふわっと揺らめなかったり、「これだ!」と思う写真が撮れず、何枚も撮影いただきました。
実は撮影の初日、清永さんから

「撮ってほしい絵が撮れるまで撮るから、イマイチな時はそう言ってほしい」

と言われ、おかげ様で妥協せず、最高の写真が撮影できました。カバー写真だけでなく、本書で使っている写真はnamytoneさんの文章のストーリー性をより深める、素敵なものばかりです。

清永さん、色々なアングルを探って何度も撮影いただき、本当にありがとうございました。イマイチな時、感情が顔に出てしまい、大変失礼いたしました……。

こちらの写真は撮影後、帰りの駅に向かう車の道中。黄金色の田んぼの綺麗さに目が奪われ、清永さんが「車止めない?」という一言から撮影した1枚

最後に

ついに本日発売です。この本の制作では30代、40代、50代と色々な年代の編集者が実は関わっています。だからこそ、完成できた書籍だなと個人的には感じています。ぜひ、本書を読む際は、「はじめに」から最後まで通しで読んでもらえると嬉しいです。

▼namytoneさんの綴るnoteはコチラ

▼2月22日19時まで「はじめに~第1章」までnoteで公開中