うさぎ好きがイベントで出会って生まれた塗り絵『こだわり塗り絵シリーズ 和みうさぎ Rabbits and Nostalgic Japanese Scenery』
「この本の企画ってどうやってできたの?」「本のタイトルってどう決めているの?」。担当編集者が普段見せない本づくりの制作の裏側、こだわりを語るマガジンです。今回ご紹介するのは、12月4日発売の新刊『こだわり塗り絵シリーズ 和みうさぎ Rabbits and Nostalgic Japanese Scenery』。可愛いイラストで人気の塗り絵シリーズの一冊です。企画を考えた経緯や制作中のエピソードを担当編集・皆川に聞きました。
―――大人向けの塗り絵として人気のシリーズの新刊ですね。今回の本がどんな内容なのか教えてください。
大人の塗り絵として刊行していますが、イラスト内を跳び回るうさぎさんがとっても可愛いので、小さなお子さんにもぜひ楽しんでもらいたい塗り絵本です。
タイトルの冒頭にある「こだわり塗り絵」とは、1つのテーマに沿ったモチーフや独自の世界観をとことん楽しんで塗ってもらおうというコンセプトのシリーズです。本書でシリーズ3冊目となり、今回のテーマは「うさぎ」です。
―――「うさぎ」をとことん塗ってもらおう! ということですね。なぜこのような企画になったのですか?
所属の編集部では年賀状書籍も作っていて、干支である十二支のなかでも「卯年」の「うさぎ」はとくに人気の動物なんです。干支に登場しない可愛い動物もたくさんありますが、それでも私にとって「うさぎ」は特別な存在で、可愛いうさぎさんに出会うと心がそこに釘付けになってしまうんです。1年前のデザインフェスタでその瞬間が訪れました。
デザインフェスタはイラストレーターや写真家、デザイナーなどクリエイターの皆さんが集い、作品を自由に発表し、オリジナルのグッズを販売される大きなイベントです。そこで出会ったのがうさぎイラストレーターのVeryBerryさんです。展示されたうさぎさん満載のイラストに釘付けになり、その数分後には「塗り絵お願いしたいです!」と突撃していました。実はこれまで塗り絵本をご一緒した作家さんは、いずれも過去にお仕事をした経験のある方ばかりでしたので、初対面で即オファーしてしまったのは、VeryBerryさんの描くうさぎさんに魅了されたからにほかなりません。
――― 運命の出会いだったわけですね! 作り始めてみて、工夫したところや大変だったところはどんなところですか?
VeryBerryさんはInstagramでイラストの毎日投稿を4年以上も続けられていて、すでに多くの原画がありました。その中から塗り絵本にどのイラストを掲載するかというのは非常に贅沢な悩みどころでした。そこで、描かれるうさぎさんたちがとにかく幸せそうで、今をエンジョイしていることに注目してもらいたいと思い、「うさぎさんの休日の過ごし方」というサブテーマを設けてみました。また、懐かしさと新しさが共存する現代の日本を舞台にした独自の世界観も一緒に届けたかったので、くつろぎと和を感じるタイトルとして「和みうさぎ」としました。
――― ほっこりする和の世界観が表現されたタイトルですね! 塗り絵本は仕様にもこだわりがあるそうですね。
「こだわり塗り絵シリーズ」ともう一つのシリーズ「ときめく塗り絵シリーズ」に共通するこだわりとして、本文の用紙があります。通常の書籍に使う用紙はツルツルしていて塗り絵には向きません。色鉛筆の顔料の乗りや摩耗のしにくさを繰り返しテストして、塗り絵に適した用紙を選定しています。
サイズにもこだわりがあります。大人の塗り絵本では縦長か正方形に近いものが主流で、本書のような横長のサイズはほとんどありませんでした。それでもこのサイズにしたのは、本が開きやすくて塗りやすいこと、A4用紙に収まるサイズにしたかったことが理由です。
後者は、本シリーズの特徴である「印刷して何度でもできる塗り絵」を実現するためで、Webサイトから読者登録するとPDFファイルをダウンロードできます。「印刷して何度でもできる塗り絵PDF」はA4用紙にプリントできるので、読者は繰り返し塗り絵を楽しむことができます。実はもう一つPDFファイルを用意していて、著者オリジナルのカラーサンプルをポストカードサイズで提供しています。本に掲載している以外のカラーイラストも一部収録しているので、読者の皆様にはぜひダウンロードしてみてほしいです。
――― 塗りやすさや豪華特典へのこだわりが、人気の秘密かもしれませんね。最後に、この本のイチオシのポイントをお願いします!
線画イラストには食事のシーンが多く登場するのですが、パイナップルや牧草など、どれも実際にうさぎさんが食べることができる食材が描かれています。これはVeryBerryさんのこだわりの一つであり、こうしたうさぎさんへの愛情がイラストのあちこちに溢れています。塗り絵なのでどんな色に塗っていただいてもOKなのですが、本のページをめくっていただく際は、細部に散りばめられたうさぎさん愛を探してもらえるとさらに楽しいかと思います。