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【編集者の書棚から】#本好きの人と繋がりたい Vol.10

出版社は本好きの集まり。この「編集者の書棚から」では、毎回2~3人の社員が、いち読者として最近手に取った書籍を紹介していきます。「書棚を見ればその人がわかる」とよく言われるとおり、インプレス社員の人となりが垣間見えるかも(?)なマガジンです。今回ご紹介するのは、『永遠のデザインとことば』と『おいしいふ~せん』の2冊です。


ミッフィーの生みの親による、仕事と人生のお守り本

「デザイナーさんによく読まれている本なのだけど、参考になるかもしれないからよかったら読んでみて」

ある日、社内のデザイン制作室のデザイナーに声をかけられ、この本を渡されました。ミッフィーは子どものころから好きでしたが、作者であるディック・ブルーナさんのことは、「グラフィックデザイナーでもある」ことくらいしか実は知りませんでした。

さて、本を隙間時間にパラパラとめくってみると、心はあっという間にブルーナさんの世界へ。誌面は、ブルーナさんの言葉とその解説が作品と共に掲載され、名言集のようなつくり。デザイナーとしての仕事の哲学、影響を受けたアーティスト、ミッフィーの線や表情へのこだわり、そして夢を持つことなどに関する金言がちりばめられています。

特に印象的だったのはブルーナカラー(ブルーナさんの絵本で使われている6色)についての章。たとえば、黄色(ブルーナイエロー)のページでは、『黄色は、あたたかい家の中と楽しい気持ちの色』(P.10より引用)という言葉と共に、黄色に包まれたミッフィーの絵が描かれています。それを眺めていると、本当に心の中にぽっと明かりが灯るような、あたたかで幸せな気持ちに……。ページをめくるたびに、ブルーナさんによる世界の捉え方や色、シンプルでやさしい(でも強い)イラスト、そして言葉にどんどん引き込まれ、心が満たされていきます。

疲れたとき、自信をなくしたとき、癒されたいとき、夢や目標のことで悩んだとき。本棚にずっと置いて、お守りのようにもっておきたい一冊です。(編集部・和田奈保子)


こうでありたい、と気分が楽になる素敵な人の本

ジブリ映画にもなった『魔女の宅急便』の作者、角野栄子さんによる2023年11月発売のエッセイ。雑誌の連載がまとめられた本だそうです。

失礼ながら昔からの熱心なファンというわけではなかったのですが、2023年に東京の葛西に「魔法の文学館」という施設がオープンしたので訪れてみたところ、角野さんのお人柄が素敵だなと思って読んでいます。魔法の文学館はディズニーリゾートのアトラクションのひとつのようなユニークな施設。立地も近いです。角野さん選書のたくさんの本が読めます。『魔女の宅急便』って6巻まであるんですね。周りの公園内にも『おばけのアッチ』の像などが隠れています。
本書の内容は、角野さんの過去から現在までの日常の出来事について思うことが綴られています。コロナ禍のお話もあって今どきな印象です。小中学生でも読める表現、文章量です。

ご本人にお会いしたことはないのでイメージですが、前向きに、気楽に、自由に、おしゃれにといった素敵なお母さん。
物の価値は高級さや評判ではなく自分が気に入るかどうか、人にいい顔ばかりでなく本音で接するが否定するわけでもない、学びや体験にいつまでも貪欲な姿勢などなど、見習いたいと思うところが多い人でした。
国際アンデルセン賞の授賞式の際も、高級ドレスを買っても後で着ないからって、材料費1万円くらいの自作ワンピースで出ちゃう。なのにおしゃれで場違い感もないのはセンスでしょうか。
マネしてみたいと思うけど、自分がその立場だったらと思うと、びびってそれなりのブランドのスーツという「間違わない」選択をしてしまいそうです。ああ、人の目を気にし過ぎ。

こういう人が書いていると思って読むと、より刺さる言葉が多いというか。よりほっこりするというか。
あらためて言うことでもないですが、本に限らず絵画や映画などを観賞するときにも、作者や登場人物のことを少し知ってから触れると数倍おもしろいと思います。

ビジネスでは、多数決に従ったりロジックやエビデンスが重要だったり空気を読んだり、必ずしも「自分の好き」なようにはできないことばかり。もちろんそれも大事なことなのでちゃんとやるのは大前提。ですが、自分の暮らしくらいは人の目を気にせず心に素直がいいなと。久々にそんな気持ちにさせてくれる人と本との出会いでした。
(編集部・山内悠之)



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