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【編集者の書棚から】特別編「2023年で印象に残った一冊」part3

出版社は本好きの集まり。この「編集者の書棚から」では、毎回3人の社員が、いち読者として最近手に取った書籍を紹介していきます。「書棚を見ればその人がわかる」とよく言われるとおり、インプレス社員の人となりが垣間見えるかも(?)なマガジンです。今回は特別編として、社員の「2023年で印象に残った一冊」を取り上げています。

今回ご紹介するのは、『ずるい検索』『世界を変えた50の植物の化石』『十角館の殺人』の3冊です!

思わずジャケ買いしてしまったタイトルと書影

書店店頭で思わず手に取ってしまった本。書影を見ていただくとわかるが、”ずるい”の”る”がひっくり返っている。これだけでも十分目立ち、目が引き寄せられる。さらに「ずるい検索」とは? と疑問が生まれる。PC書の編集に携わってきた身としては、「検索」というとGoogle検索が思い浮かぶ。かつては検索演算子を駆使していかに情報をすばやく見つけ出せるかが求められていた。いまや複数語を検索する際にはGoogleが自動的に候補を表示してくれるが、当時は自分で入力する必要があった。詳細は避けるが、例えばPDFファイルを探すなら

インプレス filetype:pdf

と検索窓に入力していた。ただ、前述したとおりGoogleの検索機能が進化したことで、こうした検索テクニックはあまり重要視されなくなった。そのため、一体どんな内容の本なのだろうと、ついつい手を伸ばしてしまった。いわゆるジャケ買い。

さて、その内容だが、もちろん検索演算子の話だけではなく、この情報化社会でいかに効率よく情報を集めていくかということがメインテーマになっている。最初は翻訳ツールなど検索ツールの使いこなしから始まるのだが、AIでの情報収集、SNSの活用、便利ツールなど、著者の経験を踏まえた活用法が紹介されている。当然、自分のビジネスに合う合わない、使う使わないはあるだろうが、生成AIも登場した現代で、いかに上手に情報を集めて仕事につなげていくかということに、少しでも引っかかりがある人にはおすすめしたい。久しぶりに3色ボールペンを片手に本を読んだ。赤線を引いた一部を紹介すると、

YouTubeは世界で2番目に使われる検索エンジン ← へえー、そうなんだ

動画は理解しやすいものの時間がかかる ← たしかに

YouTubeの内容をChatGPTが文字起こししてくれる ← これは便利かも

といった具合だ。

すっかりマンネリになってしまった自分の仕事のやり方をもう一度見直すにはちょうどよい一冊だ。(note編集部・高橋隆志)

植物化石から想像する大昔の地球

私たちは人類の存在しない太古の生態系や気候について化石を通して知ることができます。この本でも植物化石が、動植物の進化の過程や地殻変動の歴史を教えてくれます。それぞれどういう化石なのか、それにより明らかになったことなどが記されています。

化石からその植物の器官を推察し、陸上の生活に適応した最初の植物ではないか、最初期の種子植物ではないか、といった議論がされています。美しい化石の写真と学者たちの膨大な時間をかけた研究の一端を見ることができます。興味深いと思ったのはカバーにもなっているイチョウの化石(5000万年以上昔のものとされています)。この本によると気候変動とともにイチョウは徐々に数を減らし、2400万年前までに南半球から姿を消したそうです。それでも細々と生き残り、現代まで種をつないでいます。調べるとイチョウはレッドリストに載っているようなのです。街路樹としてよく目にするイチョウですが、そういえば自生しているイメージはありません。その姿の美しさや食用にもなることから人に愛されてきた植物です。人類と共生できたからこそ生き残っていると考えると、私たちも生態系の一員なんだなと改めて感じさせられました。(編集部:浦上諒子)

“たった1行”にだまされる

「全世界シリーズ累計670万部の大ベストセラー」「【史上最高のミステリー&スリラー本】オールタイム・ベスト100への選出」……そんな華々しい実績を持つ名作が綾辻行人さんの『十角館の殺人』です。

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!(Amazon商品ページより)

『十角館の殺人』といえば、「たった1行に読者はだまされる」とよくいわれますが、わたしも例に漏れずだまされました。以降、館シリーズのとりことなり、その後の作品も読み続けています。

また、映像化は絶対不可能だといわれ続けた本作が、2024年3月22日よりHuluでドラマ化されることになりました!  この原稿を書いているのは前日の3月21日。「早く明日になって!」と思いながら書いています。(編集部:水野純花)

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