【コダワリ #2】編集者になれた気分を味わえたMyコダワリーノアイテム。
自分は、初心者にもわかりやすいムック(世界一やさしいシリーズ)を編集しています。先日「インプレス出版人図鑑」に出させていただいたので、そちらの記事もぜひどうぞ。
この仕事をして20年以上経ちますが、編集者という仕事は家族や友人たちに理解してもらいづらい仕事です(働きマン、バクマン。、重版出来!あたりで多少ましになった気がします)。
自分の仕事道具でこだわった物とか思い出を語ったらわかってもらえる、と思ったのですが……。
知らないものに触れてみるとか、興味わきませんか?
級数表、赤ボールペン、ピンセット、ルーペ、ICレコーダー、電子辞書、付箋、メモ帳、そしてダーマト(……編集者ぞれぞれ?)。
・級数表
級数表は、編集者を始めてすぐ、初日に新宿の世界堂へ買いに行った思い出。「こんな枠線の薄い下敷きみたいなん、何に使うねん?」というのが初めの感想でした。※画像にある、□が書いてる透明のシートです。
スペース内の文字量を測るスケールなんです。
漫画家さんからもらう下書きの文字に級数表を当てて、フキダシ内に収まるように文字を指定したりなどでも使います。
・赤ボールペン
文字校正の時にゲラへ書き込むのが赤ボールペンです。好んで使うようになったのは、HI-TEC-C COLETOですが、めっちゃ個人の感想です。編集者に「好んで使ってる赤ペン見せて」って言ったら、ホントに十人十色だと思います。
・ピンセット
ピンセットは、写植を、漫画原稿にペタペタ貼ってた時に使っていました。写植は使ってるところはほとんど無いんだろうなぁ。
・ルーペ
ルーペは情報誌で使ってたポジフィルムを見るときに必須。これも今や写真はデジタルなのでなんのこっちゃですが、現像されたポジを隅々まで見るために必要でした。
・その他
電子辞書、ICレコーダー、付箋、メモ帳はいまでも使いますね。
そして、ダーマトという、一般の方に聞きなれない道具。
自分が主に使っていたのは、ポジフィルムを印刷所に入稿する際に入れるポジ袋(ビニールっぽいフィルムスリーブ)に、ラフに振った指定の番号と同じものを書き込むのに使ってました。
三菱鉛筆さんのウェブに書かれている特長のように、ガラス、金属、プラスチックに書き込めます。
とても柔らかい芯なので、フィルムを傷つけづらいので多用していたんです。
話はそれますが、
ダーマトを使ってたのはパチンコ誌の編集者(誌上ネームはゼビウス田中でしたが何か?)をしていた20年前。
誌面で使う写真は、主に実機(お店で皆さんが打っている台と同様)の液晶画面を撮影をしていて、なかなか出てこないプレミア演出も、台を自力でぶん回して撮っていました。
貴重な1枚、みたいなのも結構ありました(マルホン工業さんのセクシーショットの鳩とか!……ここはわかる方だけついてきてください)。
レア写真は“デュープ”といって複製を取ることもありましたが、それはバカ高いのです。だからポジ袋にボールペンで書いて、入れてるフィルムを傷つけるなんて言語道断の時代でした。
そのダーマトですが、自分が新人編集者でも”やってる感”を持たせてくれました。普段の生活で使わない物って、そんな気分になっちゃいません?
で、調子に乗って、何色も買ってしまいました。
赤の他に、藍色も普段は使っていましたが、緑や水色、白なんてのは自分しか持っていませんでした(手元に残ってないのですが、写真にある以上のダーマトの色を揃えていました)。
嬉しくなって使っちゃうじゃないですか?
そう、使っちゃったんです。
印刷所から叱られました。
「その色はウチでのチェックで使っててややこしいので使わないでくださいヽ(`Д´)ノプンプン」と。
20代、叱られて成長するんですよ。20年以上経った今でも鮮明に覚えていますし。40代、さっき怒られたことすら忘れてしまいます(個人の感想、ではなく得た能力です)。
今や写真はデジタルだからファイル名の指定をする感じで、ポジ袋もダーマトも使うことがなくなりましたが、編集者を始めてすぐにこだわってしまった道具ってダーマトだったな、という思い出でした。
コレクションして見せびらかすしかできなかったけど、ここでやっと日の目を見る事ができました。ネタに使うまで20年以上かかりましたけど(笑)
結局、ダーマトの話をしても、友人たちに「で、編集者ってどんな仕事なの?」と理解してもらえることは無かったのです。そりゃそうか。