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【編集者の書棚から】#本好きの人と繋がりたい Vol.17

出版社は本好きの集まり。この「編集者の書棚から #本好きの人と繋がりたい 」では、毎回2~3人の社員が、いち読者として最近手に取った書籍を紹介していきます。「書棚を見ればその人がわかる」とよく言われるとおり、インプレス社員の人となりが垣間見えるかも(?)なマガジンです。今回ご紹介するのは、『わたしの好きな季語』川上弘美著(NHK出版)と『ALIENS ビショップ』T・R・ナッパー 著・入間眞訳(竹書房)の2冊です。


好きな「季語」はありますか?

海苔のり 」の季語はいつか、知っていますか?

そもそも季語とは、俳句や詩歌に用いられる特定の季節を表す言葉です。そして俳句には「季語を入れる」というルールがあります。本書ではタイトルのごとく、著者の川上氏が好みの季語をピックアップして自身の思いやエピソードを語りつつ、最後にその季語が使われた句を紹介しています。

「海苔」は、春の季語だそうです。春といっても、俳句における季節は旧暦で、厳密には立春、立夏、立秋、立冬の日付で決まるそうで、要するに立春(二月四日頃)〜立夏までの間を指します。海苔の旬は二月初めの寒い頃だそうで(海苔なんて年中売ってるじゃん、と思っていました)、海苔好きの私はへー!と思ったのでした。

俳句や季語なんてこれまで興味も関心もほとんどありませんでしたが、理系の私でも俳句ってちょっと面白いかも、と思うことができました。最近は、本当だったら秋と呼ばれる季節(旧暦でいうと立秋後なので冬!)のはずなのに30度を超えたりと、四季とは?という天気が増えて続いています。「季節」に思いを馳せつつ、あらためて言葉を楽しむ感覚を大切にしたいと思わせてくれる一冊。装丁と仕様も凝っていてとてもかわいく、手元に置いて愛でたくなるところもおすすめです。(編集部・宮島芙美佳)


「エイリアン」と聞いて「胃カメラ」を思い出す人なら絶対読んでおきたい逸品

私は映画「エイリアン」シリーズが大好きである。特に好きなのはジェームズ・キャメロン監督がメガホンをとった『エイリアン2』だ。そんな私にとって、9月に公開された『エイリアン:ロムルス』は待望の新作だった。もちろん鑑賞済みだが、ここで感想を述べるのはお門違いなので止めるとする。

さて、本作の話に移ろう。シリーズ最新作のことは知っていたものの、この『ALIENS ビショップ』はノーマークだった。話の流れとしては『エイリアン3』の続編で、完全オリジナルストーリーとなっている。個人的に3作目は嫌いではない。シガニー・ウィーバー扮するリプリーが、スキンヘッドで登場するという強烈なインパクトを放つ作品だ。しかし……、1作目、2作目を超えるまではいかない、という印象が強く、単純な3作目の続編だったら読まなかったかもしれなせい。

しかし、副題の「ビショップ」に強い興味を覚えた。ビショップは2作目から登場するキャラクターで、いわゆる人造人間(アンドロイド)だ。3作目にも登場し、意外と重要な役割を担っている。3作目のラストを覚えていたこともあり、それなら! と読んだ次第である。

前置きが長くなってしまったが、本作の感想に入ろう。本作はまさに3作目のラストからそのまま続いている。そのため、ある程度「エイリアン」シリーズを知っていないと厳しいかもしれない。一方でシリーズを知っている人なら、文句なしで楽しめる作品になっている。特に注目したいのは、これまでのシリーズにはなかった味付けだ。シリーズとしてはSFスリラーやサスペンス、アクションといった性格が強いが、本作ではサイバーパンクとしての味付けが見どころといえる。

そこに人造人間であるビショップが活きてくるわけである。人造人間に「心」は存在し得るのか、といった部分にふれている部分もあり、これが意外と重要なテーマにもなっていると感じた。と、ここまで書いて2作目の終盤、ビショップのセリフが思い浮かんだ方なら絶対に本作はおススメですよ!

また、登場人物が豊富な点も意外によかった。読み始めた頃はやや多すぎると感じていた部分もあったが、それぞれの背景をもった登場人物たちが、ラストに向かって見事に帰結していく様にどんどん引き込まれ、あっという間に読了してしまった。ちなみに女性が活躍するという意味で、シリーズのセオリー(?)にしっかり則っているのも個人的にはグッドです。

話題は変わるが、タイトルの「エイリアンと聞いて胃カメラ」のことについて。私は健康診断でなるべく胃カメラを飲むようにしている。胃カメラで検査を受けるとき、「ああ、フェイスハガーで卵を産み付けられるときってこんな感じなんだろうなあ」といつも考えてしまうのである。個人的には「エイリアン好きあるある」だと思っているので、タイトルにしたためた次第である。まあ、さすがに本物のフェイスハガーを受けてみたい、なんて思いませんが(笑)。(編集部・小野孝行)