【コダワリ #14 前編】磐石劫の果てしない石仏曼荼羅
天人が百年にいちど、四十里四方もある巨石に舞い降り、その衣の薄絹が石をそっと撫でる。その百年おきのかすかな摩擦を、巨石が完全に削り取られてしまうほど繰り返してもまだ足りない。その思考の及ばないほど長い時間のことを「劫」(こう)といいます。退屈で面倒な作業をするときに使う「億劫」とは、この盤石劫(ばんじゃくこう)の逸話から、いくら輪廻転生しても果てないほど長い時の流れを喩えた言葉なのです。
世にごまんとある石仏を巡る道のり。それは凡夫である私にはまさに億劫な旅です。なのですが