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コダワリーノ、スキナーノ

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「コダワリーノ、スキナーノ」は、こだわりのものや好きなことなどについて自由に語る場所です。主にインプレス出版事業部のメンバーが執筆しています。
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#仏様

【コダワリ #14 後編】磐石劫の果てしない石仏曼荼羅

前編はこちら。 お地蔵様? いや、弘法大師です石仏を語るうえで外せないのが弘法大師(空海)。真言宗のお寺や霊場の写しで祀られていることが多く、遭遇する確率の高い石仏です。僧形であるためお地蔵様と似ており、慣れないうちは間違えやすいでしょう。でも見分け方はとても簡単、持物を見れば一発です。 地蔵菩薩の持物は前述の通り錫杖と宝珠で、弘法大師の持物は金剛杵(こんごうしょ)と数珠です。また、沓(くつ)と水瓶(すいびょう)が一緒に彫られていれば弘法大師です(まれにほかの祖師であるこ

【コダワリ #14 前編】磐石劫の果てしない石仏曼荼羅

天人が百年にいちど、四十里四方もある巨石に舞い降り、その衣の薄絹が石をそっと撫でる。その百年おきのかすかな摩擦を、巨石が完全に削り取られてしまうほど繰り返してもまだ足りない。その思考の及ばないほど長い時間のことを「劫」(こう)といいます。退屈で面倒な作業をするときに使う「億劫」とは、この盤石劫(ばんじゃくこう)の逸話から、いくら輪廻転生しても果てないほど長い時の流れを喩えた言葉なのです。 世にごまんとある石仏を巡る道のり。それは凡夫である私にはまさに億劫な旅です。なのですが